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資産クラス毎の値動き分析、各種株価指数イベントの考察、アノマリーの検証、225オプションのリスク管理備忘録です。日本株&デリバティブの運用と金融翻訳で生計立てています。

イベント備忘録: 2023年米債務上限問題を巡る金融市場の動き - 2011年との比較

2~3年毎に繰り返される金融市場の動揺を人質にねじれ米議会が弄ぶチキンゲーム党争茶番には辟易するが、市場参加者にとっては大事な売り仕掛けネタであるのも事実である。

2011年8月8日の米国債ショックは、債務上限引き上げ成立後にもかかわらず、S&Pが米国の長期債務格付けを格下げしたことによる世界同時株安を指すが、この日のS&P500は約6.7%もの下落となった。しかし、細かく確認してみると、オバマ大統領と共和党のベイナー下院議長の交渉決裂となった同年7月23日以降7月31日の民主・共和合意までに約3%下落し、その後は市場の懸念が米景気後退や欧州債務危機の深刻化にシフトしたことで8月5日までに更に約8%下落し、結局、8月8日の米国債ショック前までに約11%もの下落に見舞われていたことになる。

こうした株式市場の下げに呼応したリスクオフの流れから、VIXは急上昇し、米ドルが売られた。一方で、震源たる米国債はリスクオフからの安全資産逃避の流れから逆に買われる展開となった(下図及び表参照)。

今回は、前回のような動揺は見られず、いずれの資産クラスも落ち着いた動きとなっている。米地銀やクレディスイス等金融機関の相次ぐ破綻や景気減速懸念はあるものの、2011年当時のようなマクロ上の懸念の深刻化には至っていない点もこうした動きに寄与したと考えられる(下図及び表参照)。

 

 

 

 

                                                                                                                                               

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