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資産クラス毎の値動き分析、各種株価指数イベントの考察、アノマリーの検証、225オプションのリスク管理備忘録です。日本株&デリバティブの運用と金融翻訳で生計立てています。

Weekly Market Summary: 2023/6/9

6/5-6/9: 日経225、イケイケどんどんは一旦終了?

 

 

今週回顧

米株はISMサービス業の下振れや新規失業保険申請件数の大幅増加から利上げ見送り観測が強化され、小動きながら依然として大型グロース優勢で、S&P500は昨年10月安値からの上昇率20%越えで強気相場色入り。5/25のエヌビディア好決算をきっかけにしたAI熱狂が支配的となり、物色の広がりを欠く中、週前半はラッセル2000や地銀株にも物色の裾野が広がったものの、直ぐに息切れとなった。利上げ見送り&リセッッション懸念の組み合わせでは、総花的な動きにはなりづらい。

日本株はジェットコースター様相。外人爆買い継続期待(図1参照)にショートコールのヘッジ踏み上げ(表1参照)で週前半は怖いものなしの上伸を見せるも、円高進行や日銀植田総裁の保有ETF処分言及による切取御免ヘッドラインアルゴ発動で週後半は一転急反落、そして週末は幻SQ回避で急反発と何とも慌ただしかった。

図1: 年初来累積の外人及び個人売買動向

表1: 日経225オプション7月限の建玉残上位

こうした流れから、ボラティリティは日経VIが年初来高値23.16を付けた一方で、米VIXは年初来安値13.65を付ける等好対照な動きとなった(図2参照)。

図2: 日米欧株価指数ボラティリティ

来週想定

個人的には、高所恐怖症でやや身がすくむ位置まで登った感がある日経225。長期のベテラン投資家は皆同じ感覚でいると思われる。しかし、「売り向かい -> 踏み上げられ -> 損切り」の負のループが本格的な売り仕掛けを躊躇させる要因になっているため、手掛けづらいのが実情とは思うが、今週の激しい上下動を見る限り、売り仕掛けが入りやすい局面に移行したと考えるのが自然であろう。

グローバル比較で見た年初来パフォーマンスは日本株が突出して高い(図3参照)ことが影響して、日経225変動率に対するドル円の説明力(ドル高(安)=日経225高(安))が高まっている(図4参照)。

図3: 日米欧株価指数年初来パフォーマンス推移

図4: 日経225変動率の説明要因別年初来累積インパク

来週は、米5月CPI、米FOMC、日銀政策決定会合というドル安円高リスクを伴うイベントが予定されているため、注意が必要と考える。先週発表の米雇用統計は強弱混在の結果となったが、今週のISMサービス業と新規失業保険申請件数は景気減速を示唆する内容であった。ここで、円高による日経225のアンダーパフォーマンスが想定されるシナリオは、CPIが予想を下振れし、FOMCで想定通りの利上げ見送りもドットチャート及びパウエル議長会見がハト派的な内容に落ち着いた場合である。また、週末の日銀政策決定会合でも想定通りの現状維持になったとしても、植田総裁の記者会見でのYCC修正やETF処分言及からヘッドラインアルゴ発動でも、円高による日経225のアンダーパフォーマンスが想定される。但し、下方向の動きは短期的で、直ぐに回復する可能性にも留意は必要であろう。いずれにせよ、ノイズによるふるい落しに惑わされないように努めることが肝要である。

 

 

 

 

 

                                                                                                                                               

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