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資産クラス毎の値動き分析、各種株価指数イベントの考察、アノマリーの検証、225オプションのリスク管理備忘録です。日本株&デリバティブの運用と金融翻訳で生計立てています。

Weekly Market Summary: 2021/1/15

 1/11-1/15: 米追加経済対策公表後はリスクオフ、期待材料消化で、コロナ長期化見通しや経済指標の悪化等の懸念材料に警戒向かう

曜日別の主な材料は、

  • 1/11(月): ビットコイン一時20%急落、FRB高官の早期利上げ観測、米民主党トランプ大統領弾劾訴追手続き
  • 1/12(火): 
  • 1/13(水): FRB高官が早期利上げ観測火消し
  • 1/14(木): バイデン氏が1.9兆ドル規模の追加経済対策公表、FRBパウエル議長がテーパリング観測打消し、新規失業保険申請件数の増大
  • 1/15(金): 米12月小売売上高の悪化

期待買いを牽引した追加経済対策公表後は、リスク資産が総じて軟調になり、株価指数ボラは上昇した。先週末発表の弱い米雇用統計は、バイデン氏の追加経済対策に対する拡大期待を煽り、株高・債券安につながったが、今週発表の悪化した新規失業保険申請件数や小売売上高に対しては、株安・債券高でリバース反応。

株式: 米株は、主要3指数が総じて軟調な展開の一方で、ラッセル2000は週前半のシクリカル系物色時の貯金が効いて、週間ではプラスで終わった。日本株は、米株とは対照的に、小型株や新興株が弱い展開。n225は、1/6の27,000水準から急ピッチの上げが続き、値動きの良さから市場参加者の関心が主力株に集中の流れは昨年の米大統領選以降の継続トレンド(下図参照)。

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合理的バブルとして正当化される現在の株価水準だが、高所水準にある分、自然落下への疑念が芽生えるのも当然。目先の期待材料出尽くしとなれば尚更で、週末の米国株式市場で、好業績発表の金融株が事実売りで押されたのが象徴的。

株価指数ボラ: 米追加経済対策通過で上昇に転じた。sp500 VIX、n225 VI共にパラレルな動き。225オプション2月限は、downsideのボラが強含み、putの建玉残増加が目立ち、put/callレシオは上昇した。

米国債: 長期債イールドは往って来い。米追加経済対策への期待とFRB高官のテーパリング瀬踏みとも取れるタカ派発言を受け、長期債イールドは上昇し、2-10年債スプレッドは一時100bps越えとなったが、その後は、順調な長期債入札、FRB高官のテーパリング打消し発言、更には軟調な経済指標の発表もあり低下。期待インフレ率は依然強含みの為、実質金利はマイナス幅が50bps程拡大した。

FX: 米ドル指数は週を通じて強含み。前半はリスクオン通貨として買われ、後半はリスクオフ通貨として買われる展開。米追加経済対策公表を受けた材料出尽くし感やFRBパウエル議長のハト派発言もあり、米10年債イールドは1%越えで目先一服感が台頭、この水準が米ドルのリスクオン通貨orリスクオフ通貨の判断の分かれる水準か。ユーロはコロナ感染長期化とワクチンのロールアウト遅れで実体経済の悪化が意識されて軟調。toppyなビットコインは、スプラッシュマウンテン状態。

コモディティ: 全般に千鳥足歩調であったが、週末の下げ大きく、週間では反落。原油及び銅は、中国でのコロナ感染拡大が嫌気された。金は、実質金利の低下は見られたものの、米ドル高が悪材料視された。

来週の相場想定: 急ピッチの上げから強弱感対立で、短期的には日柄調整の週となることを見込む。n225の25日移動平均カイリはまだ+5%あり、売り仕掛けの下げを押し目買いが吸収しつつ、カイリ縮小が進む展開か。n225の想定レンジは、27,800~28,800とする。

今週はFRB高官のタカ派ハト派発言が交錯したが、パウエル議長の「テーパリングは時期尚早」明言を受けて、長期債イールドは落ち着いた動きとなった。平均インフレ目標戦略の下、インフレと金融緩和の長期化容認のお墨付きはあるのだが、実際に、期待インフレ率が2%越えで達成感も見られる中で、長期債イールドの上昇継続に対して中銀が放置スタンスを続けると、2013年5月の「唐突テーパリング」バーナンキ・ショック時の株式市場の動揺が思い起こされる。今回は、すぐさま牽制が入ったため、引き続き金融市場への目配りが確認ができたことで、当面はこの手の心配はしなくてもいいか。 元FRB議長の積極財政派とも目されるイエレン氏が新財務長官に就任することで、FRBとの連携に齟齬が生じないことを願う。



                                                                                                                                         

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