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資産クラス毎の値動き分析、各種株価指数イベントの考察、アノマリーの検証、225オプションのリスク管理備忘録です。日本株&デリバティブの運用と金融翻訳で生計立てています。

Weekly Market Summary: 2023/2/10

2/6-2/10: 強烈雇用統計から、金利先物市場の政策金利予想は上方シフト進み、タカ派当局とのギャップ縮小へ。

一方、米株は景気堅調で利上げ耐性ありとでも見ているのか、下げは限定的。ドル円は、日銀総裁人事を巡るメディアの観測報道相次ぐ中、ヘッドラインに振らされる。

 

 

今週回顧と来週展望

2/1のFOMCまではパウエル議長もディスインフレの進行を認め、リスク資産市場の楽観的上昇にも牽制を入れず等から、インフレ減速&底堅い景気認識が支配的な適温相場が続いていた。実際に、エネルギー価格と住宅価格を起因としたインフレがこれまでの積極的利上げ効果により明確な減速軌道が見えている。

今後のインフレの浮沈は、残る大きな牙城であるサービス価格、即ち、賃金インフレにかかっている。労働市場の逼迫が懸念される中で発表された2/3の雇用統計は強烈上振れとなり、一転して利上げ長期化懸念の台頭を招き、今週は早速に債券市場が金利上昇を織り込み始めた。

雇用統計発表後、2/7のパウエル議長のインタビューでは、概ね前回FOMCでの会見でのスタンスが踏襲され、その他FRB高官の発言も政策金利の高水準維持への言及はあるものの、具体的なターミナルレート水準の引き上げへの言及は見られず、サプライズとはなっていない。

金利先物市場が見込むターミナルレートは5.19%へ上昇し、昨年12月FOMC時の2023年ドットチャート中央値とほぼ同水準になり、そのタイミングも6月から8月に予想後倒しとなったが、依然として年末までに1回弱の利下げを見込んでいる。しかし、2024年に関しては、4回に利下げを見込む当局の予想に対して、市場は依然として6回の利下げを見込んでおり、強烈雇用統計の影響は出ていない。

2/10のミシガン大学消費者信頼感指数でのインフレ期待上振れが、米国債利回りの更なる上昇に寄与(下表参照)。10年物金利は、週間で実質金利とBEIがそれぞれ10bps程上昇し、都合20bps程上昇した。

一方で、米株式市場の下げは限定的。強烈雇用統計を受けて、利上げ長期化でも米経済は耐えられると見ているのか?昨年末からの上昇は、EPSに殆ど変化がない中、実質金利低下によるPER上昇主導であった(下表参照)。しかし、このトレンドは足元で反転しており、実質金利水準から見た株価はやや割高ゾーンにある(下図参照)。

 

2/7(火)パウエル議長のインタビュー(2:40 am JSTから)前後の値動き

強烈雇用統計後でタカ派変節が警戒されたパウエル議長ののインタビューであったが、最終的には大きな変化なしとの市場判断に落ち着いた。尤も、発言内容の硬軟度に応じて、道中はN字推移で振らされたが、、、

 

来週の注目は米1月CPIと、近々予定される新日銀総裁植田氏の所信聴取。

前年同月比CPIはNowCast予想の0.65%に対し市場予想が0.5%、前月比は同0.46%に対し0.4%(下図参照)。前年同月比コアCPIはNowCast予想の6.48%に対し市場予想が6.2%、前月比は同5.59%に対し5.5%となっている。NowCast予想は、CPIとコアCPI共に市場予想を上回っているが、特にCPIがジリ高推移しているのがやや気掛かり。コアCPI予想は横ばいだが、足元では中古車価格の再上昇も確認されており、財価格のインフレ動向も注意が必要。

日銀総裁植田氏については、市場が今後どのように消化していくは全く未知。同氏のこれまでの発言からはタカ派ハト派の色付けは難しい。これまでのタスキ掛け人事が崩れ、学者出身の総裁になる訳だが、マクロ経済のプロであることはわかっても、政策運営や市場との対話等については、近々予定される国会での所信聴取をまずは手掛かりにしていくしかないが、今後も暫くはヘッドラインだけで踊りを始めるアルゴに振らされる局面が頻発するかも。

 

 

 

 

 

 

                                                                                                                                               

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