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資産クラス毎の値動き分析、各種株価指数イベントの考察、アノマリーの検証、225オプションのリスク管理備忘録です。日本株&デリバティブの運用と金融翻訳で生計立てています。

Weekly Market Summary: 2021/7/2

6/28-7/2: 市場の関心はインフレから雇用へシフト、「利上げはまだ先」認識強まり債券・株式共に買われる、楽観深まる中でいいとこ取りのゴルディロックス相場に

 曜日別の主な材料は、

  • 6/28(月):  FOMCクォールズ副議長&ウィリアムズ氏発言
  • 6/29(火): FOMCバーキン氏発言、米6月消費者信頼感指数 - (実)127.3 (予)119.0 (前)120.0
  • 6/30(水): FOMCボスティック氏&バーキン氏発言、米ADP非農業部門雇用者数 -(実)692K (予)600K (前)886K
  • 7/1(木): 6月日銀短観 大企業製造業業況判断 - (実)14 (予)15 (前)5、大企業非製造業業況判断 - (実)1 (予)3 (前)-1、米新規失業保険申請件数 - (実)364K (予)390K (前)415K、米6月ISM製造業景気指数 - (実)60.6 (予)61.0 (前)61.2
  • 7/2(金): 米6月非農業部門雇用者数 - (実)850K (予)700K (前)583K、米6月失業率 - (実)5.9% (予)5.7% (前)5.8%、米6月平均時給 - y/y (実)3.6% (予)3.7% (前)1.9%

株式: 経済指標とコロナ耐性の強さを評価し、米株1強の週であった。デルタ株感染拡大懸念が重しとなり欧州及び日本株は停滞感。中国は共産党100周年で国威発揚に政策期待もあったが、米中対立の激化が重しとなり軟調

ボラティリティ: sp500 VIXは15pts割れ寸前、n225 VIも17pts割れまで低下進んだ。sp500 Skewは160弱で高止まり。VIX先物のネットショート残も市場の楽観の高まりから、減少トレンド一服。「目先の変動リスクは低いが、急落リスクはある」という今の状態が長らく続いているが、楽観が長引くと反動が怖い。

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債券: 米長期国債利回りは急低下し、10-2 spreadは120bps割れ。10年物BEIは殆ど変化なく、実質金利は8bps程低下して-90bps水準に。5月CPI発表後の利回り低下は、多分に債券先物のショートカバーという需給要因の影響も大であったが、直近FOMC後の利回り低下は、FRBのインフレ抑制姿勢の明示で金利上昇圧力が和らいだことに加え、リバースレポ市場に資金が殺到する程の超金余り状況下でのyield-seekerの現物買いが、足元で再び積み上がりを見せる債券先物ショートを上回ったということになるのか。

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通貨: 米ドルは、好調な経済指標と世界的なデルタ株感染リスクの高まりを受けて堅調な展開であった。リスク選好度の低下から、資源国通貨や新興国通貨は全般に軟調な流れ。ビットコインは、3万ドル割れ回避で下げ一服。

コモディティ: 原油は、OPECプラスでの減産縮小幅拡大の思惑は出たものの、需要拡大期待が根強くしっかりな動き。大豆及びコーンは、6/30米農務省発表の予想を下回る作付面積を受けて急騰し、金などの貴金属価格にも波及した模様。

来週以降のn225想定: 7月の風物詩となったETFの換金売りだが、今年は7/8~7/9にかけて先物・現物合計で8,000億の売り圧力とも言われている。東証1部の売買代金が2兆円に満たない日も珍しくない最近の夏枯れ先取り相場ではインパクトも大きくなると見込まれているが、警戒する向きが多いということは、先回りショートも多いと考えられるため、最終着地はそれ程下に見なくてもよいのでは。

しかしながら、米株主要3指数揃っての連日の高値更新で、Skew指数の高止まりに反映されている通り、高所恐怖感はつきまとう。急落トリガーは相場に聞かないとわからないが、7/13の米6月CPIでインフレ懸念が蒸し返されるとか、FRB当局者の発言でタカ派色が一層強まるとか、7月FOMCと債務上限問題を巡る駆け引きで不透明感が拡大するとか市場の楽観を裏切るような想定外が起きた場合、米株市場に対する日本株のベータは2.0ぐらいで見ておいた方が無難かも。

 

 

 

 

 

 

 

                                                                                                                                       

本内容にある過去データ及び将来の見積、予測、予想に関する情報が正しいとは限りません。また、本内容は特定の銘柄、取引を推奨するものではありません。取引に当たっては、ご自身のご判断でお願いします。売買で被られた損失に対し、著者は何らの責任も持ちません。