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資産クラス毎の値動き分析、各種株価指数イベントの考察、アノマリーの検証、225オプションのリスク管理備忘録です。日本株&デリバティブの運用と金融翻訳で生計立てています。

Weekly Market Summary: 2021/6/11

6/7-6/11: 米インフレ懸念後退の流れが続く中、注目の米5月CPIは上振れも想定内反応で米債利回りは大幅低下、米株は高値警戒感あるもナスダックが堅調でVIXも低下

 曜日別の主な材料は、

  • 6/7(月):  
  • 6/8(火): 米4月JOLT求職 -  (実)9.286M (予)8.300M (前)8.288M
  • 6/9(水): 中国5月PPI - y/y  (実)9.0% (予)8.5% (前)6.8%
  • 6/10(木): ECB理事会、米5月CPI - y/y  (実)5.0% (予)4.7% (前)4.2%、m/m  (実)0.6% (予)0.4% (前)0.8%、米新規失業保険申請件数 - (実)376K (予)370K (前)405K
  • 6/11(金): 米6月ミシガン大学消費者信頼感指数 -  (実)86.4 (予)84.0 (前)82.9

株式: 米株は、手掛かり難から週前半は方向感欠く展開も、米5月CPI発表後は堅調さを示した。市場最高値圏ながらsp500が新値更新、金利低下を追い風にnasdaqがやや大きめに上昇した。欧州は、ECB理事会での景気見通し上方修正とPEPP購入ペース維持からしっかり。中国は、米中対立激化が頭を押さえておりもみ合い商状。ワクチン接種進展からの経済再開を先行して織り込んだ米株は、日欧新興国に比べると指数の更なる上振れには、7月以降の決算シーズンでのポジティブサプライズが必要か?

株価指数ボラ: 注目の米5月CPI発表前で、n225、sp500共にHVの急低下が進行、発表後も低下継続。通常、警戒イベントを控えたタイミングでは、想定外への備えからのIV上昇と動きづらさの側面からのHV低下でIV-HV spreadが拡大し、イベント通過後に縮小するもの。今回は発表前にIVの上昇が見られず。決算シーズンが既に終わり、当面のカタリストはマクロに絞られる状況下で、結局は市場が波乱無しと見切っていたということか。来週はFOMCを控えているが、こちらもサプライズ無しと見切っているのか?

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債券: 米国債イールドは、金利ボラティリティの低下続く中、5月CPI上振れを受けて瞬間的に上昇を見せたが、結局は1.4%半ばまで10bps程下がり、10-2 spreadも1.3%割れ直前まで低下した。10年物BEIも8bps程低下し、実質金利の水準に大きな変化はなし。

出所: CBOE

市場観測にある通り、今回のイールド急低下は債券先物ショートの解消によるフロー主導の影響大か。下図は、投機筋による債券先物の差引取組高の推移だが、直近週でネットショートが大きく減少していることがわかる。来月以降は物価指標のベース効果も剝落すると見込まれるため、8月のジャクソンホール会議等テーパリングを巡る材料が具現化するまでは凪が続きそう。

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出所: CFTC

通貨: 米ドルは、ECB理事会での景気見通し引上げとPEPPでの買入ペース維持を受けて強含み、対円以外で概ねしっかり。ビットコインは一時3万ドル割れも見える中、バーゼル委員会による暗号資産に対する自己資本要件の提案が好感され、とりあえず下落スパイラル沈静化。一方で、ビットコインからの資金シフトも観測され、値持ちの良かったイーサリアムは大幅安に見舞われた。規制強める中国やパイプライン会社へのサイバー攻撃の身代金決済でビットコインが利用されたり、仮想通貨ETF承認にSECが依然消極的であり、当局による規制懸念は大きな重し。

コモディティ:  原油は、高値警戒感あるものの、世界的な経済再開に伴う根強い需要拡大見通しやイラン産原油の供給再開懸念の後退を受けて続伸。金は、金利低下以上にインフレ期待低下が効いて、1,900ドル台定着とはならず小幅安。穀物は、米供給見通しの大豆引き上げ&コーン引き下げを受け、大豆の下げが目立った。

来週以降のn225想定: 最大の注目はFOMCだが、市場が波乱無しと決め打ちしているため、多少の警戒感を残しつつも、スモールレンジでの取引が続きそう。仮に、テーパリング懸念を高めるような結果にならなければ、ワクチン接種進展がセンチメントの下支えとなり、じり高から先月の米CPIショック前の29,500レベルを試す展開か。


 

 

 

                                                                                                                                       

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