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資産クラス毎の値動き分析、各種株価指数イベントの考察、アノマリーの検証、225オプションのリスク管理備忘録です。日本株&デリバティブの運用と金融翻訳で生計立てています。

Weekly Market Summary: 2021/4/23

4/19-4/23: コロナ感染拡大や米キャピタルゲイン課税引き上げ計画への警戒から弱気織り込み進むも動きは限定的、米欧比でコロナ及びワクチン対応が遅れている日本はセンチメントの弱さ残る

曜日別の主な材料は、

  • 4/19(月): テスラ&ビットコイン - 衝突死亡事故を受け急落
  • 4/20(火): ネットフリックス - 1-3月決算は新規有料会員数の成長鈍化で急落
  • 4/21(水): 米20年債入札
  • 4/22(木): ECB理事会、米新規失業保険申請件数、バイデン氏増税提案見通し、インテル - 1-3月決算は粗利率大幅低下で下落
  • 4/23(金): 米4月PMI&3月新築住宅販売戸数 - 共に高水準

リスクオフムードから、株式から債券へ選好がシフトした印象。需給及びテクニカル要因から派手に上げたのがコーン、小麦、大豆等穀物コモディティ。一方で、悪材料が重なり、厳しい下げに見舞われたのがビットコイン等暗号資産。

株式: コロナ対応が最も進む米株は、一進一退の動きから小幅安で済んだ。コロナ感染拡大は気掛かりも、好決算への期待も根強く、キャピタルゲイン課税引き上げも条件反射的な下げに止まった。一方の日本株は、週前半は緊急事態宣言や決算ガイダンスリスクへの警戒感で重苦しい展開であったが、日銀ETF購入確認の安堵感と緊急事態宣言の悪材料出尽くしで底値打ちとなった。但し、戻りは限られた。今後の日銀ETF購入トリガーは前場2%超下落時とも。

株価指数ボラ: やや上昇も、sp500は依然低水準のまま、n225はコロナを巡る状況で対米比較で分が悪い分上昇幅は大きく、20%台に復帰。n225オプション5&6月限は、商いは膨らんだが、週間でのIV上げは限定的であった。

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債券: コロナ感染拡大や米キャピタルゲイン課税引き上げ報道を警戒したリスクオフの流れに沿い、米国債10年物イールドは、概ね1.5%台の狭いレンジで推移した。ここもとの米国債利回り低位安定については、直近の米銀大手の大型社債起債の影響でスワップスプレッドが縮小しており、ヘッジ需要(金利スワップのロング)が米国債利回りを押し下げたとの観測も聞かれた。

通貨: 米ドルは、国債利回りの上値重く、今週も主要通貨に対して1弱状態。ユーロは、ラガルド氏が早期テーパリング否定も、米国に続く景気回復期待の高まりを受け、3月初め以来の1.2ドル越え。円も3月初め以来の108円割れ。カナダドルは、主要国では一足早いテーパリング開始と2022年利上げ観測がサプライズとなり上昇。ビットコインは、週初のテスラ車衝突死亡事故や米キャピタルゲイン課税引き上げ等悪材料が相次ぎ、年初来でも+100%超上昇は恰好のリカク対象となり急落。

コモディティ: コーン、小麦、大豆の穀物3種は、米国低温やブラジル干ばつ等の供給懸念や中国の旺盛な需要に加え、先物5月限のショートカバーといったテクニカル要因も重なり大幅上昇。コーンの年初来上昇率はビットコイン等の暗号資産を除けば資産別リターンでトップだが、買い建玉が史上最高水準に積み上がっており、供給懸念が払拭されれば急落の可能性も。原油は、米ドル安が下支えするもインドのコロナ感染急拡大が需要懸念を上回り小幅安。貴金属は概ね小動き。

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来週の相場想定:FOMCと日銀政策決定会合が予定されているが、大きな動きはないと考える。米FEDの重心は物価ではなく雇用であり、完全雇用までの道のりはまだ遠い。加えて、2018年秋のトラウマもあり、拙速な引き締め転換は控えられる。寧ろ、将来的には引き締めの遅れが懸念される。また、米"American Family Plan"の詳細が明らかになると思うが、キャピタルゲイン課税引き上げ報道で当初の反応は出ているため、それ以上の動きは限定的と思う。後は、決算発表本格化を迎えることでガイダンスリスクが気掛かり。好調な米企業に比べて、日本は足下のコロナ感染拡大がどの程度会社予想に影響するか。今週の下げである程度弱気予想は織り込まれたと考えるのが妥当かどうか判断に迷う。

 

 

 

                                                                                                                                       

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