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資産クラス毎の値動き分析、各種株価指数イベントの考察、アノマリーの検証、225オプションのリスク管理備忘録です。日本株&デリバティブの運用と金融翻訳で生計立てています。

Weekly Market Summary: 2020/12/4

11/30-12/4: 軟調な米経済指標から財政催促相場に、ワクチン実用化期待も健在で利益確定売りを吸収

曜日別の主な材料は、11/30(月): 月末リバランス -> 12/1(火): 米追加経済対策期待&好調な中国PMI --> 12/2(水): 米追加経済対策期待やや後退も英国によるファイザーワクチン緊急承認 -> 12/3(木): ファイザーワクチン初期出荷目標削減 -> 12/4(金): 軟調な米雇用統計で米追加経済対策期待に弾み&英EU通商協議一時停止

引き続きワクチン期待が相場を支え、軟調な米雇用統計が追加経済対策期待を膨らませ、リスクオンが進展した。米国債及び米ドルは売られ、コモディティは強含み。株式は、ボラティリティ低下を追い風に、11月大幅高の調整も見られず、小動きながら堅調な展開。

株式: 米株は、週初こそ月末リバランスや利益確定売りに押されたが、その後はワクチンと追加経済対策期待を支えに、主要3指数に加えてラッセル2000も最高値更新となった。12月アノマリーのサンタラリー開始といった感じ。日本株もしっかりだが、コロナ感染急拡大がリスク視された分だけ上げ限定となった印象。

株式ボラティリティ: sp500 VIXは低位安定、n225 VIは20割れまで低下し凪モード入り。こうしたボラティリティの低下は、リスクパリティファンドを通じた株価指数の上昇に一定の貢献をしたと思われる。1月限の225オプションのIVは、upsideで顕著に低下し(下左図)、ここもと続いていたコール建玉増加も一服感が出ている一方で、downsideでは24000~26000のプット建玉が増加が目立った。

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債券: 米国債は、軟調な経済指標が材料視されず、イールドが上昇。10年債は再度1%水準を試す展開で、10-2年債スプレッドも80bps越え、10年物TIPSからのB/Eインフレ率も1.9%まで高まった。

FX: 米ドル指数は、追加経済対策期待のリスクオンから売られた。週末こそ、英EU通商協議一時停止を受けて反発するも、週を通じて弱い地合いにさらされた。ドル円は小動き、ユーロドルは年初来高値更新、ビットコインも一時最高値更新。

コモディティ: 金は、米ドル安とインフレヘッジ需要から値戻しが進んだ。銅は、中国の好調な経済指標を受け上昇。原油は、協調減産体制の継続や米追加経済対策への期待を手掛かりに買われた。

来週の相場展望: 日欧米共に、弱い経済指標は積極的な追加経済対策に対する催促転化で相場下支えを見込む。中銀イベントでは10日(木)のECB理事会に始まり、来週のFOMC&日銀が控える。日本株は、週末にメジャーSQを控えて若干荒れる展開も有り得るが、ボラティリティの低位安定を前提に、n225の想定レンジは26,500~27,000の狭いレンジとする。

目先、ボラティリティ上昇を引き起こすとすれば、米長期金利の今後を占う試金石となる次回FOMCか。FRBは、現状「株価がいくら上がってバブルになっても、金融緩和はやめない」とのスタンスだが、市場参加者がそれを信じられるうちは、バリュエーション面の合理性から見て株価水準が割高だとしても、それだけで株価下落要因になるとは考えられない。しかし、相場がバブル臭を放ってくると、思惑でボラティリティが高まりやすくなる。

足元の長期金利の上昇で既視感を覚えるのは、長期金利の急上昇でsp500 VIXが急騰し、株価急落を招いた2018年2月の「VIXショック」。当時のFRBは、前年9月以降量的引き締めに転じて利上げモード全開中で、現在とは金融政策のステージが異なる。しかし、このままバイデンラリーの深掘りで10年債イールドが1%を超えて上昇を見せるようであれば、次回FOMCでのYCC導入なり将来的なFRBの長期債イールド抑え込み方針が示されないと、グロース株の割高感の正当化は難しくなり、目先の市場混乱にもつながる可能性はある。

 

 

 

                                                                                                                                         

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