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資産クラス毎の値動き分析、各種株価指数イベントの考察、アノマリーの検証、225オプションのリスク管理備忘録です。日本株&デリバティブの運用と金融翻訳で生計立てています。

Weekly Market Summary: 2020/12/11

12/7-12/11: 米ロックダウン懸念と経済対策遅れや英合意なきEU離脱リスクが重しも、ワクチン期待で市場の楽観は維持 

曜日別の主な材料は、

  • 12/7(月): 米国の一部で外出制限措置強化&英EU自由貿易協定の合意困難見通し
  • 12/8(火): 米ファイザーとJ&Jでワクチン開発を巡る好材料
  • 12/9(水): 米経済対策期待やや後退&FBが反トラスト法違反の疑いで提訴される
  • 12/10(木): 米新規失業保険申請件数増加を嫌気&ECB追加緩和措置決定
  • 12/11(金): 米追加経済対策ずれ込み見込みも政府機関閉鎖は回避、英GSKのワクチン実用化遅れ懸念も米FDAファイザーのワクチン緊急使用許可

米国債はリスクオフの流れから売られ、最もわかりやすい反応を示した。米ドルもリスクオフ優勢から堅調。株価指数ボラティリティは、sp500 VIX及びSkewが警戒感を織り込みに行く形で上昇した。一方、株式及びコモディティのリスク性資産は、ワクチン期待が依然優勢で下げは限定的であった。

株式: 米株は主要3指数が小幅安も、ラッセル2000は小高く終わった。英国株はポンド安を受けて道中堅調だったが週末で上げを吐き出した。欧州、中国及び新興国はやや軟調だが全般には小動き。日本株も6週ぶりの下落でこれまでの上方向のモメンタムは消えたが、米株の粘り腰から下値も限定的。n225ソフトバンクG(9984)次第の週。新興株は、テーマ物色の流れでマザーズからジャスダックに資金シフト。

株価指数ボラティリティ: 日米で正反対の動き。sp500 VIXは23越えまで上昇し、Skewも140目前まで上がり、テールリスクが気になる水準へ。n225 VIは先週末の20割れから更に低下して19割れ。n225オプション1月限は、IVは総じて小幅低下(下左図参照)、建玉残はdownsideに備える動きから、先週同様にPutの積み増しが多かった(下右図参照)。

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12月限も満期を迎えたので、SQ日終値を起点とした過去5年の月足を確認する(下図参照)。今年は兎にも角にもコロナショック。直撃を受けた3月限が2008年10月限以来の-20%越えのテールイベントとなり、オプションの売り方にとってリスク管理の巧拙が年間パフォーマンスを大きく左右する象徴的な月となった。また、谷深ければ山高しの格言通り、その後は+10%越えが2度あり、volatileな1年であった。

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債券: コロナ感染拡大や経済対策遅れ重視のリスク選好度低下から、米国債イールドは急低下し、2-10年債スプレッドも80bps割れでイールドカーブはフラット化、10年物TIPS利回りは-1.0%目前。

FX: 週間ベースでは、全般に小動き。ややリスクオフ優勢から米ドルは強含み、英EU合意なき離脱リスク再燃でポンド/ドルの下落が目立った。ECB追加緩和を受けたユーロ/ドルは小反発。ビットコインは、金ETFからの資金流入も噂され、落ち着いた動き。

コモディティ: 全般に小動き。金は、週間では小幅高も、インフレヘッジの買いは後退。原油は、在庫増もワクチン期待優勢から小幅高で終えた。

来週の相場展望: 日本では日銀短観と政策決定会合が、米国では大統領選選挙人投票、FOMC、11月小売売上高が注目される。米追加経済対策は最悪12/26までの長期戦も覚悟の必要があるため、ワクチン実用化に向けたポジティブな側面支援がないと株式もリスクオフの流れになる可能性も。FOMC結果を踏まえた長期金利の動向が目先のローテーションのカタリストに。市場の楽観が継続されるか否か正念場の週か。n225の想定レンジは26,000~27,000とする。マザーズIPO祭りに備えた換金売り&12月節税売りが重しとなりそう。

 

 

 



                                                                                                                                         

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