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資産クラス毎の値動き分析、各種株価指数イベントの考察、アノマリーの検証、225オプションのリスク管理備忘録です。日本株&デリバティブの運用と金融翻訳で生計立てています。

Weekly Market Summary: 2020/11/13

11/9-11/13:  前半はワクチン期待優勢、後半はコロナ懸念優勢に。

日本時間11/9(月)夜のファイザーによるワクチン砲が炸裂して、景気の早期回復連想から週前半は急速かつ大きな動きを示した。株式はグロースからバリューへのローテーション、米国債イールドは急上昇、米ドルはリスクオン通貨へ鞍替えして上昇、原油は買われ、金は売られる展開。しかし、週後半は止まらないコロナ感染拡大とワクチン実用化への懸念から動きが反転。但し、週末の米国市場は若干リスクオンへの戻りを見せている。

主要指標の変動率

株式: 米株は、主要3指数に跛行色が見られたものの、週末は揃って上昇し、結局、nasdaq以外はプラスで終えた。コロナ感染拡大真っ只中とは言え、バイデン政権によるロックダウンは特定の地域に絞った形で行われるとの見通しも手伝って、sp500とrussell2000は週末に最高値更新となった。russell2000の最高値更新は、米国内景気の早期回復に対する強気の動きとして注目される。

日本株は、日経225の強さが目立ち、NTレシオは14.90まで上昇。ここ2週間で10%を超える日経225の上昇率は、十一街金といい勝負であり、売り方の心中は察して余りある。年初来で米nasdaqのリターンを上回る最強指数マザーズは小幅安だが、前半の下げをきっちり取り戻しており、基調高は続いている。結局、今年一番の勝者は、コロナ以降に新規参入してマザーズだけに全力買いした強者。そして、相場はゼロサムな訳で、一番の敗者は、コロナ後の安値で売り、その安値で売りヘッジかけて、往復ビンタ食らい、動くに動けなくなったwww、、、俺か?

ボラティリティ: 米大統領選直前にピークを打った後、先週は一貫して下げたが、今週は下げ一服のn225 VIに対して続落のsp500 VIXとなり、日米で対照的な動き。結果として久しぶりにsp500 VIXがn225 VI水準近くまで降りてきた。下左図は日経225オプション12月限の行使価格別IVの前週比だが、downsideは強含み。下右図は同じ12月限の行使価格別の建玉変化で、目立つのは、24250プットと24750プットの2本で約2万枚減少、それから依然としてニーズが高いコールは26000~26750で約1万枚増加。

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米国債: 10年債イールドは上昇するも1%手前で跳ね返されたが、水準としては今年3月以来の高水準。2年債とのスプレッドも、80bps越えはならずも拡大。TIPSの利回りも同様に強含んだ。
FX: 米ドル指数は週初のリスクオンで大きく上昇し、その後はリスクオフで小幅に売られる展開。先週まではリスクオンで売られ、リスクオフで買われていたが、10年債イールド1%水準を目前にして変身か。

コモディティ: 週初の急変動のインパクトが週末まで割ときれいに残ったのが原油と金。原油は急騰のちジリ安、金は急落のちジリ高。銅は小動き。

来週の日経225展望: 決算発表一巡で、否が応でもコロナを巡るヘッドラインに踊らされる可能性大で、基本は感染拡大とワクチン期待の綱引き。また、この2週間の急騰を踏まえて、多少の調整があってもと考えたくなるのも人情。但し、道中で、バイデン氏による将来的な政権運営に絡んだトークアップが支援材料となる可能性は念頭に入れておきたい。以上から、24,800~26,000の想定レンジとする。

ボラティリティが20近辺にまで低下したことは好材料だが、米大統領選も終わり、目立った材料の予定のない週であるため、尚更コロナがボラティリティの決定要因となりそう。下左図は、今年5月以降(欧州でロックダウンの部分解除が始まった時期)のボラティリティ推移と欧米のコロナ新規感染者数の日次変化率の推移だが、割ときれいな順相関が見える。下右図は、縦軸にsp500 VIX、横軸に感染者数の日次変化率を取った散布図だが、感染拡大はボラティリティ上昇につながる傾向が強い(決定係数0.9)ことがわかる。

コロナの終息とワクチンの実用化が見えてくるまでは、ボラティリティの売買には慎重さが求められる。本格的な業績相場への移行はもう少し先になるだろうし、となると金融緩和の長期継続シナリオは揺るがず、グロースの旬もまだ過ぎていないということ。

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