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資産クラス毎の値動き分析、各種株価指数イベントの考察、アノマリーの検証、225オプションのリスク管理備忘録です。日本株&デリバティブの運用と金融翻訳で生計立てています。

Weekly Market Summary: 2020/11/6

先週は、バイデン民主党完全勝利のベストシナリオに対して、接戦&混乱のワーストシナリオへの警戒感が高まる中、それでも生真面目な米国債はバイデントレードの初一念を貫きイールドを上げ、米ドルはバイデントレード以上にリスクオフ優勢でやや上昇したものの、気性の激しい株式はリスクオフ一辺倒で下げたという構図であった。

そして、今週。ワーストシナリオに近い接戦という結果を受けて、週初はバイデントレードの巻き戻しにより、米国債イールドは低下、米ドルは上昇。ドテン、週末にかけては、民主党の上下両院での勝利の可能性も出てきたことで、バイデントレードの再エントリーとでも言うべき動きから、米国債イールドは上昇、米ドルは下落した。

但し、株式は下げとはならず、週初から一貫して上昇を見せた。他資産に比べて事前のワーストシナリオの織り込みが進み、先物ベースで大きく下げていた反動という解釈になるのか。それにしても、株式の変わり身の早いこと、いいとこ取りの面目躍如である。そもそも、民主党政権も悪くない、勝ち馬に乗るべきと豹変したのがついこないだ。後講釈だろうが、開票直後のトランプ善戦を受けてハイテクが買われたり、議会ねじれ見込みを好感して上げたり節操がない。まあ、それでも勝てば官軍ということか。

主要指標の変動率

株式: 米株はnasdaqの上げが最も高い日本株も無限マザーズ再開でグロース優位の展開であった。n225は、年初来高値更新とは言え、新高値銘柄数はそれ程増えていない。現物商い以上に先物商いが膨らんでおり、先週大きく売り越した外人のショートカバー主導で上げたと考えられる。自分も含めてだが、混乱長期化想定でショートしていた向きも多かったと見えて、日経レバ(1570)は11/5(木)付で逆日歩150円。

ここまでn225が上がるとtopixの出遅れが気になる。topixの出遅れはバリュー系の景気敏感セクターが弱いからだが(下図参照)、足下のバイデントレード再エントリーの流れに、主要国で唯一好調な中国経済と将来的な米中緊張緩和の可能性の再認識が加われば、topixの出遅れももう少し解消されてもおかしくない。

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気になるのは、欧米のコロナ感染急拡大。4-6月期で一気に景気の底が見えた故の早期株価回復は、コロナの早期終息とワクチン早期開発完成が見えてこそ正当化される。パンデミックの長期化が懸念される現状では、実体経済との乖離を無視した株価は上げ過ぎと思う一方で、ソロスの再帰性理論で言うところの自己強化的プロセスで株価が上げているとすれば、持たざるリスクに怯えてしまう。変に理屈をこねて相場観持つのは避けるべきか。

結局これまでのところは、コロナがマッチポンプの役割を果たしたということになる。過剰流動性相場(下図参照)の号砲を鳴らし、イールドハンター達を債券から株式にシフトさせ、米大統領選に絡むリスクも飲み込んでしまい、株価をここまで回復させたということに尽きる。議会を含めた最終決着が来年1月となったことで、トランプ大逆転、民主党の上下両院での勝利も可能性がないわけではなく、まだまだ混乱の火種も残るが、中銀のバックアップが信頼できるうちは、下げてもすぐ戻るのかな。

f:id:onemonth85putseller:20201107130536p:plain ボラティリティ急低下。米大統領選の結果は確定していないが、とりあえずは大混乱なくイベント通過したことで出尽くし(下図参照)。225オプションでは、コール側の建玉残(特に、Dec 250CとDec 260C)がかなり増えており、このまま堅調な展開が続くと、ブローカーの裏ヘッジを通した先物買いによる踏み上げリスクも念頭に入れておかなくては。

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債券: 米国債イールドは、週初はバイデントレードの巻き戻しで下げ、週末はバイデントレードの再エントリーで上げ戻しと素直な反応。

FX: 米ドルは、米国債同様、週初はバイデントレードの巻き戻しで強含むも、週末はバイデントレードの再エントリーやFOMCハト派スタンス再確認で下げ戻し。eur/usdは、足下のコロナ感染拡大をものともせずに上昇。FRB輪転機がフル稼働でいるうちは米ドルの下げ圧力も強くならざるを得ない。

コモディティ: 軟調な米ドルの動きを受けて、全般に戻り歩調。WTIは需給要因、銅は好調な中国経済というサポート要因も手伝って上昇。

来週の日経225展望: 主力銘柄の決算は一巡、マクロ指標の発表も大きなものはなく、米大統領選を巡るヘッドラインに注目が集まる。指数の年初来高値越えで上値抵抗も少なく上方向への動きは軽くなると見込まれるが、急ピッチな上昇に対する警戒感や週末のミニSQを控えて高値波乱もありえる。基本は大きく下に突っ込んだら買いのスタンスで、想定レンジはやや広めの23,800~24,800とする。

 

 

                                                                                                                                             

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