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資産クラス毎の値動き分析、各種株価指数イベントの考察、アノマリーの検証、225オプションのリスク管理備忘録です。日本株&デリバティブの運用と金融翻訳で生計立てています。

Weekly Market Summary: 2020/10/9

今週の金融市場は、不透明感が薄れリスクオンの展開。米追加経済対策に関連した当局者の発言が週初の失望から週末にかけて期待・楽観へと転化し、堅調な相場を形成した。正に、相場の沙汰も金次第。

主要指標の変動率

米株は総じてしっかりで、特に小型株指数のラッセル2000の強さが目立った。コロナ感染から驚異的(?)スピードで退院したトランプ大統領は、追加経済対策について週初の与野党協議中止宣言->直後の国民への小切手支給や航空業界等支援は継続協議発言->そして週末にはより大規模な支援策の希望表明と相変わらずの巧みなexpectation managementでvolatility agitatorぶりを発揮。弱めのマクロ指標の発表が続くなかで、追加経済対策への期待は高い。大統領選前の与野党合意は難しくとも、当面は期待が相場の下支えに。

また、米大統領選に関しては、上下院での勝利も含めた民主党圧勝の"sweep blue"をポジティブに織り込む動きも見られた。選挙結果に対する疑義が減るとの思惑から、米中緊張緩和の恩恵銘柄や負け組のヘルスケア関連も物色され始めた。民主党政権誕生にはネガティブな反応を示すのを常としてきた相場は終わったのか?

日本株も全般に堅調で、米株同様にコロナ負け組の仕込みが聞かれた。マザーズは過熱感半端なし。公開初値でテンバガー達成銘柄が出たりとスガノミクス&IPOのバブル様相を呈している。これでは昔のマザーズの性癖を知ってる人間は手を出しづらい。マザーズのバブル弾けて主力株にも換金売りな展開は御免被りたい。

米国債は、民主党政権誕生で大規模経済対策の連想から利回りが上昇。10年債と2年債の利回りスプレッドは6月以来の60bps越えまで拡大し、イールドカーブがスティープ化。為替は、リスクオンから米ドルは弱含み、その米ドル安を受けてコモディティーは概ね堅調だった。FRBの資産購入規模に変化はないが流動性は潤沢であり、債券では十分な利回り確保は困難であるため、当面はより高リスクな資産クラスへの資金流入は続きそう。

ボラティリティは、日経VIがコロナショック以降で初の20割れで売り方優位の動き。日経225オプションのPut/CallレシオはCall建玉の増加を受け低下、90/110skewも寝たままと下値警戒感は後退した。sp500VIXも日経VI程ではないにせよ低下したが、大統領選結果の波乱の少なさを織り込みに行く動きだとすればやや早い気もする。いずれにせよ、イベント結果が出てしまえば、材料出尽くしでボラティリティも当然に低下することに。

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来週のカタリストで気になるのは、13日(火)の米アップルのイベント、15日(木)米大統領選挙の大統領候補討論会2回目(キャンセルかも?)とEU首脳会議。不透明感が薄れて上方向に行きたがっているように見える米株にどこまで付き合えるか?日経225は来週も堅調だろうが、足元の米ドル弱含みを踏まえて幾分マイルドな23,400~23,900のレンジを想定する。

                                                                                                                                               

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