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資産クラス毎の値動き分析、各種株価指数イベントの考察、アノマリーの検証、225オプションのリスク管理備忘録です。日本株&デリバティブの運用と金融翻訳で生計立てています。

VIXと政策金利の逆相関

2/8付日経スクランブル「米恐怖指数、株安でも沈黙」では、VIXが金融引締時に理論値を下回る傾向を示すとあった。金利上昇に伴い、業者のキャリーコストが上昇すると、B/Oスプレッドの拡大及び流動性の低下が起き、オプション建玉も減少という一連の流れができる。結果的に、低金利時に比べて、指数変動率に見合ったVIX上昇が期待できないという理屈になる。

これは、株式のバリュエーション評価に使う配当割引モデルの理屈に重なる。つまり、低金利時は小さな金利変化が理論株価の大きな変化につながるが、高金利時はその感応度が鈍るというもの。従って、低金利時のボラティリティが高めに出るというのは理屈に合っている。

下図は、2015年から2021年までのS&P500の月間変動率(月中高値と月中安値の差を月末値で除した値)とVIXの月中高値の関係を示している。回帰式からは、月間変動率10%に対して、VIX34.4という関係が見て取れる。平均月間変動率は5.3%であった。

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下2図は、上が、前回の連続利上げ局面である2017年から2018年までの2年間で見たものであり、下が、米政策金利及び国債利回りの推移を示している。傾きが低下し、月間変動率10%に対して、VIX30.8に低下しているのがわかる。平均変動率は4.5%であった。

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インフレ鎮静化が出来なれば、来年以降も利上げの道筋が続くと思われるため、VIXは通常時よりも変動率の割には低水準な展開が見込まれる。

 

 

 

 

                                                                                                                                       

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