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資産クラス毎の値動き分析、各種株価指数イベントの考察、アノマリーの検証、225オプションのリスク管理備忘録です。日本株&デリバティブの運用と金融翻訳で生計立てています。

行使価格選択への迷い

期近Putの売り、行使価格はどれにする?

1か月というのは短いようで長いものです。とりわけ、ボラティリティが高まる相場では長く感じられます。本来、物臭な人間はオプション取引なぞやるべきではないのですが、プレミアムを端から受け取れるというのが日本人のマインドセットに適っているんでしょうね。ついつい、deep OTMなら頻繁にデルタヘッジしなくても済みそうだし放置playしとくかみたいな。実体はタコ足配当にもかかわらず、毎月分配投信に群がる人間の心境はよくわかります。

さて、期近Putを売る時に精神衛生上心地よい行使価格、つまり、in-the-moneyで終わる可能性が低い権利行使価格はどの辺りになるのでしょうか?過去データからザックリと検証してみました。

図1は、2008年以降の日経225(データの制約上、現物指数で代用)の月次変動率(起点はSQ日終値、終点は翌月SQ前日終値)を白点、同期間中の最大上下振れ率を赤青の棒グラフで示してあります。過去12年の間に15%超のdownsideが確認されたのは、リーマンショック東日本大震災バーナンキショック、そして今回のコロナショックの4事例でした。3年に1度だけと見るか、3年に1度と見るかは個人のリスク選好度によって異なると思いますが、個人的には昨今のテールリスクの高まりを念頭に置けば、3年に1度と感じます。

ボラティリティが年率30%として、1か月に引き戻すと約8.7%。つまり、2/3の確率で+/-8.7%、90%の確率で+/-14.2%、95%の確率で+/-17.0%に収まると想定されます。あくまでも精神衛生上ということですが、17%下であれば、vegaはともかく、gammaはあまり気にせずに済みそうに見えます。しかし、Put売りが、99回コツコツ勝っても1回ガツンと負けて破産という末路リスクを内包していることを肝に銘じて対処することが肝要でしょう。

 

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図1: 2008年以降

2020/8/26 修正

                                                                                                                                               

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