恐怖は狂気を強化する
おはギャー連荘の幕開けとなった2020年2月最終週を私自身への自戒を込めて振り返ります(図1参照)。急落のトリガーは、日本が祝日であった2月24日にCDCがコロナ流行に対する注意喚起を行ったことを受けた米国市場の急落でした。結果論ですが、この時点では後に当局から打ち出される経済対策や利下げ&量的緩和再開はまだ見えていません。サポートネタが見えてこない以上、ダウンサイドへの振幅は大きくなります。流石にこれだけの急落が続くとIVも急騰します。
期近Putの売りを抱えていて一番怖いのは、満期まで2週間以上残ったタイミングでのIVの急騰です。ガンマは先物ヘッジである程度カバーできますが、ベガの急騰は死亡遊戯につながります。セータは頼りにならず、今更高過ぎてベガロングは取りづらいですし、証拠金効率の点からも早めのロールダウンか損切りが理想でしょう。
この週に見せたIVの急騰ぶりは図2で確認できます。1週間でdeep OTM PutのIVはほぼ2倍のレベルに上昇しています。特に発狂したのは28日(金)から29日(土)にかけてです。ここでの29日(土)とは、28日(金)夜間市場の終値である29日(土)朝5:30時点を指しています。わずか半日で、行使価格18,000以下のPutは軒並みIVが100以上に跳ね上がってしまいました。これ程先物が下げているのに、OTM Callの価格は急落前より高いという目を疑う異常っぷりでした。
冷静に考えれば、IVは過大評価された状態です。IVの平均回帰特性に賭ける胆力があれば、これはチャンスです。この時点で3月限Putの下限行使価格は15,000でした。先物参照価格が20,550、オプション価格は150円、IVは117.57でした。満期まで2週間の73%Putに150円という高値が付いていたのです。
結果的には、その後IVは急低下してプレミアムは急速に剝がれて行きました。また、明らかな裁定エラーと思われる異常値も散見されました。下方向の権利行使価格は新設ラッシュでしたが、より下の権利行使価格のPutのほうが高いといった例もありました。
2020/7/13 追記
本内容にある見積、予測、予想に関する情報が正しいとは限りません。また、本内容は特定の銘柄、取引を推奨するものではありません。取引に当たっては、ご自身のご判断でお願いします。売買で被られた損失に対し、著者は何らの責任も持ちません。