先週は、米中関係の緊張といった地政学リスクの高まりに加えて、27日(木)のFRBパウエル氏によるジャクソンホールでの講演や28日(金)の安倍首相の記者会見といった要人イベントが予定されていたこともあり、あらかじめボラティリティの高まりが想定される週であった。こうした場合、「想定外に備える機敏さ(Op買い)と想定外を活かす大胆(Op売り)」の両方が求められるが、惜しむらくはそれ程の用意周到さと胆力を自分が持ち合わせていないことか。
とりあえず、日経225オプション9月限のスマイルカーブ推移(下図1)を確認する。週初からじわりとスティープ化が進行し、8/28(金)14時過ぎの安倍首相の辞任速報を受けて先物は一時600円を超える下げとなり、downsideのIVは一段のギャップアップとなっている。
しかし、8/29(土)朝時点のIVは夜間先物の動きが限定的であったとは言え、8/27(木)水準まで押し戻されている。この時点では典型的な材料出尽くしである。一例として9月限190Pの値動きを確認すると、8/27(木)の11円が8/28(金)にはvegaの踏み上げで瞬間高値32円を付けたものの、8/29(土)朝にはvegaの往って来いで8円である。
Days to Future 190P
maturity Sep mini Net Chg Px K/S IV Delta Gamma Theta Vega
8/25 17 23,330 330 8 81.4% 41.85 0.011 -0.000013 1.77 -1.42
8/26 16 23,220 -110 9 81.8% 43.82 0.012 -0.000015 2.06 -1.52
8/27 15 23,200 -20 11 81.9% 45.94 0.014 -0.000017 2.57 -1.68
8/28 14 22,895 -305 21 83.0% 49.36 0.024 -0.000026 4.53 -2.56
8/29 13 22,945 50 8 82.8% 44.73 0.012 -0.000016 2.46 -1.26
べき論としては、全般的なボラティリティ水準も高くなく、1両日中の想定外への備えとして、8/27(木)時点でよりvegaの大きい期先Put裸買いでvegaからの収益の最大化を図る。また、想定外を活かすため、8/28(金)時点で満期まで2週間を切る期近Put売りでのtheta享受が最良だったか。
無論、来週以降の相場が安倍首相の辞任をどのように織込んでいくか不明だが、金融相場という前提に変わりはない以上、IVも落着いてくると予想する。
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