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資産クラス毎の値動き分析、各種株価指数イベントの考察、アノマリーの検証、225オプションのリスク管理備忘録です。日本株&デリバティブの運用と金融翻訳で生計立てています。

Weekly Market Summary: 2022/3/18

3/14-3/18: 株式は一連の上げ材料に加え、FOMC結果のいいとこ取りで連騰&大幅高、必然的にトリプルウィッチング控えたガンマヘッジングに伴うテクニカルラリーに拍車

 

曜日別の主な材料は、

[3/14(月)]:

[3/15(火)]:

 中国2月鉱工業生産 - y/y (実)7.5% (予)3.9% (前)4.3%、

 中国2月固定資産投資 - y/y (実)12.2% (予)5.0% (前)4.9%、

 米2月PPI - y/y (実)8.4% (予)8.7% (前)8.5%、m/m (実)0.2% (予)0.6% (前)1.0%、

 米3月NY連銀製造業景気指数 - (実)-11.80 (予)7.00 (前)3.10

[3/16(水)]: 

 米2月コア小売売上高 - m/m (実)0.2% (予)0.9% (前)4.4%、

 FOMC

[3/17(木)]: 

 米2月建築許可件数 - (実)1.859M (予)1.850M (前)1.895M、

 米2月住宅着工件数 - (実)1.769M (予)1.690M (前)1.657M、

 米新規失業保険申請件数 - (実)214K (予)220K (前)229K、

 米3月Phila連銀製造業景気指数 - (実)27.4 (予)15.0 (前)16.0

[3/18(金)]

 米2月中古住宅販売戸数 - (実)6.02M (予)6.10M (前)6.49M

 

株式市場にとっての露宇紛争は戦況激化警戒より停戦期待に軸足移った感から更なる下げ材料にならず、中国要人の資本市場向けトークアップは爆安モードのアジア市場のV字回復を促したことでセンチメント好転に寄与、FOMC結果は積極的利上げを通じたインフレ抑止スタンス鮮明化にもかかわらず、魔法の杖でもあるのか、単なる金融市場配慮なのかパウエル議長が楽観的景気見通しを述べたことを好感しつつ、週末のFRB当局者のタカ派発言は受け流すという株式市場らしい「いいとこ取り」性癖全開、止めはトリプルウィッチング控えたガンマヘッジングに伴うテクニカルラリー。

ボラティリティは、株、債券共に急低下。米2月PPIの予想下振れの影響もあってか、インフレ期待は踊り場に。一方で、米国債利回りは、5年債と10年債で瞬間的に逆イールド発生、2年債と10年債利回りも逆イールド目前で景気後退を視野に入れている。コモディティは、混乱のニッケルをはじめ、総じて下げ優勢であった。

 

n225オプション4月限IVカーブはnear-the-moneyの低下顕著

下図は、n225オプション4月限のIVスマイルカーブ、ストライク別IV変化幅と出来高の1週間推移。指数の急速な戻りから全般に低下、near-the-moneyの下げ幅が目立った。

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n225は今年初の5日続伸で都合6.6%高、s&p500は4日続伸で都合6.2%高

短時日の連騰による大幅高がオプション満期日にかけて起こると、near-the-moneyのコール売りポジションを抱えたディーラーの買いヘッジで上げが上げを呼ぶ展開となる。ゴールドマン・サックスによると、週末のトリプルウィッチングで満期を迎える個別株および指数オプションの想定元本は約416兆円とされており、2019年以来の大規模らしい。また、s&p500指数のリバランスも重なるため、商いは更に膨らむ。週末のs&p500指数はほぼ高値引けとなったため、かなりのポジションがロールされたと見るべきか。

 

量的引き締め開始は次回5月FOMC?          

FRBは中立金利の水準を2.5%から2.4%へと引き下げた一方で、23年末の政策金利を2.75%までに引き上げる方針を示した。中立金利を上回る水準にまで政策金利を引き上げるということは、景気よりインフレ抑制の優先度が高いということ。また、B/S縮小開始も次回5月FOMCで決定される可能性が高くなった。しかも、縮小ペースは前回より早いペースが見込まれる。

下図は、米マネタリーベースの2008年以降の推移。リーマンショック後の緩和局面では、約6年かけて0.8兆ドルから4兆ドルへ増えた。その後、2017年9月からのB/S縮小は、最大時で月間500億ドル縮小という緩やかなペースで行われ、結局は約2年で0.8兆ドル減らして打ち止めとなった。

コロナショック後の緩和局面では、2年強で3.2兆ドルから6.4兆ドルへ倍増。s&p500指数もほぼ2倍(per上昇が6割寄与、eps上昇が4割寄与)に上昇している。前回の2倍のペースなら月間1,000億ドル縮小となるが、資産購入が月間1,200億ドルペースで行われたことを思えば、かなりネガティブに映るが、果たして次回5月のFOMCの結果と株式市場の反応はどうなるか?

来週以降は米3月PMI等露宇紛争を踏まえたソフトデータの発表が出てくる。センチメントがどの程度悪化しているのかは大いに気なるところ。コロナも全世界的にエンデミック扱いに舵を切り始めているが、アジアでは依然として感染拡大が続き、中国がゼロコロナ政策の修正模索中との観測が聞こえるものの、供給制約から来るインフレ圧力も続くのは厄介である。となると、4月の雇用統計やCPI発表前後の市場混乱にも目配りは必要になる。そして、こうしたマクロ環境を前提にした来期業績予想がどうなるのか?

「懸念材料のない市場などない」のだが、懸念材料の多さは気になるところ。インフレ8%、賃金増加5%、しかし政策金利は来年末で3%。この矛盾に市場がどこまで耐えられるのか?前回の2015年12月からの利上げ局面で株式市場が天井を付けたのは量的引き締め開始となった2017年9月から1年も後の2018年秋であった。しかし、今回はそんな長持ちはしないであろう。それでも、株式市場は最悪全織り込み済として反発するもの。

次回5月のFOMCまでに直前までに警戒感から下げの織り込みが進んでいれば、今回のように出尽くしアク抜け反発パターンも有り得るが、株式市場が得意とする持続的楽観が続いているようであれば、長期下落の始まりのきっかけにもなり得る。足元の株式市場のは「会議は踊る、されど進まず」的空気を纏っている。

 

 

 


                                                                                                                                       

本内容にある過去データ及び将来の見積、予測、予想に関する情報が正しいとは限りません。また、本内容は特定の銘柄、取引を推奨するものではありません。取引に当たっては、ご自身のご判断でお願いします。売買で被られた損失に対し、著者は何らの責任も持ちません。

 

指数イベント備忘録: FTSE半期入替 2022/03

露宇紛争のハイボラに見舞われるも、無難に順方向着地

本日は2/18発表のFTSE Japan指数の入替リバランス日で、東証1部売買代金は4兆円越えに膨らんだ。FTSEをベンチマークとするパッシブ資金がどれ程あるのかは不明だが、4兆円越えの売買代金を見る限り、それなりのインパクトはあったということ。

Large&Midが、追加5銘柄と除外7銘柄。Smallが、追加14銘柄と除外10銘柄。下図は、2/18引けからリバランス日の3/18引けまで、等ウェイトで追加銘柄をLong、除外銘柄をShortとした場合の起点を100とした指数化チャートとスプレッドリターンの推移。

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下表は、銘柄リスト。Mid&Large追加銘柄では、好決算から2日連続ストップ高となった三井ハイテクやリバランス直前にかけて上げ潮に乗ったマザい系のMoney Forwardが大きくプラス寄与。Small追加銘柄では、低流動銘が上げを牽引。

 

 

 

                                                                                                                                       

本内容にある過去データ及び将来の見積、予測、予想に関する情報が正しいとは限りません。また、本内容は特定の銘柄、取引を推奨するものではありません。取引に当たっては、ご自身のご判断でお願いします。売買で被られた損失に対し、著者は何らの責任も持ちません。

Weekly Market Summary: 2022/3/11

3/7-3/11: 上げてるのは米ドル、コモディティボラティリティとインフレ期待ぐらい、他資産は一蓮托生下げでクロスアセット相関高まる。

 

曜日別の主な材料は、

[3/7(月)]:

[3/8(火)]:

[3/9(水)]: 

 中国2月CPI - y/y (実)0.9% (予)0.9% (前)0.9%、m/m (実) (予)0.3% (前)0.4%

[3/10(木)]: 

 米2月CPI - y/y (実)7.9% (予)7.9% (前)7.5%、m/m (実)0.8% (予)0.8% (前)0.6%、

 米2月コアCPI - y/y (実)6.4% (予)5.9% (前)6.0%、m/m (実)0.5% (予)0.5% (前)0.6%、

 米新規失業保険申請件数 - (実)227K (予)216K (前)215K

 ECB理事会

[3/11(金)]

 米3月ミシガン大学消費者信頼感指数 - (実)59.7 (予)61.3 (前)62.8

 

週後半の株式市場は、ウクライナのゼレンスキー大統領の停戦協議での譲歩示唆、UAE駐米大使のOPEC増産支持やプーチン大統領ウクライナとの協議での一定の前進確認発言を受けての期待から、ショートカバー主導の急上昇を演じた。しかし、期待の旬は刹那的で、結局はアヤ戻しに終わった。週間では、欧州株が木曜日急騰の貯金がものを言いプラスで終わったが、他は総じてマイナス。

ボラティリティは、株、債券いずれでも高まっており、一部ではVaRショックを危惧するコメントも見られたが、週前半がピークで週末にかけてはやや軟化している。下左図は日米欧の株価指数ボラティリティだが、ピーク水準は露宇との地理的近さと紛争の道義的責任の大きさに比例している。

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米国債利回りは、2月CPI上振れもあり、10年債利回りが2%水準に復帰。10年物BEIの上げが止まらず、ロシアのウクライナ侵攻前は当局の量的引締も念頭にしたBEIの落ち着きから-0.4%水準まで上昇していた実質利回りはインフレ主導で-1.0%をうかがう中、当局が後手に回るリスクを睨む。2年債利回りとのスプレッドも年初来最低水準で、スタグフレーションを織り込む動きとなっている。

FXは、いざという時の米ドル状態。加えて、資源高を受けて資源国通貨が堅調。持たざる国は日本を含めて弱い。コモディティは、先行して上げていた原油、小麦やパラジウム等で一服感が見られるが、ニッケルはショート・スクイーズによって爆騰し、その後、香港資本LME騒動に発展した。日本の左にある某大国のニッケルメーカーが行う売りヘッジへの忖度というか、8日の急騰を受けたLMEがニッケル先物の取引停止と8日約定取引のキャンセルを発表し物議を呼んでいる。買い方の怒りは察して余りあるし、こんな上から目線の徳政令的対応で、LMEへの信用は大きく棄損する。

            

 

n225オプション4月限IVカーブはコール側上昇顕著

下図は、n225オプション4月限のIVスマイルカーブ、ストライク別IV変化幅と出来高の1週間推移。指数の下げを受けたスライド効果でコール側の上方シフト、加えて3/10からは露宇関連の期待材料を囃す形でコールの商いも膨らんだ。

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インフレスパイラル懸念

米2月CPIは、コアCPIの上振れが最大の懸念要因か。尤も、ロシアのウクライナ侵攻を受けた資源及び農産物価格高騰は3月CPI以降の反映となるため、総合CPIも気になるが。コアCPIの最大構成比を占める住居費の上げが止まらず、「買うから上がる、上がるから買う」的な長期化スパイラル感を呈している。その他の品目も「上がる前に買っておこう」的な防衛購買がインフレ強化に作用。

春以降はベース効果からの前年比でのCPI落ち着きも期待されたが、露宇紛争が早期に決着しない場合、CPIの10%越えも有り得るのでは。仮に、年内残りのFOMCで毎会合25bps利上げを行ったとしても政策金利は2%水準。一方でインフレが10%では、当局が目論む「景気を殺さないインフレ退治」は難しい。

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来週は16日のFOMCと週末のトリプルウィッチングが最大の注目。FOMCは、前回12月に年内25bps3回利上げがドットチャートで示されたが、今回はどこまで増えるか?金利先物市場は6~7回を織り込む中、直近の露宇紛争を踏まえた慎重姿勢が示されれば、目先は好感されるであろうが、この先のインフレ高進及び景気指標の悪化が確認されれば、下げが増幅される可能性も高まるリスクと隣り合わせにあることは頭に入れておくべき。

 

 

 


                                                                                                                                       

本内容にある過去データ及び将来の見積、予測、予想に関する情報が正しいとは限りません。また、本内容は特定の銘柄、取引を推奨するものではありません。取引に当たっては、ご自身のご判断でお願いします。売買で被られた損失に対し、著者は何らの責任も持ちません。

 

Weekly Market Summary: 2022/3/4

2/28-3/4: 週末の原発ショックから株式は狼狽売り、欧州株&通貨の下げきつい。一方で、国債利回りはリスクオフ&スタグフレーション織り込みから急低下。原油から小麦やパラジウムに至るのコモディティは上昇に拍車。

 

曜日別の主な材料は、

[2/28(月)]:

 

[3/1(火)]:

 中国2月製造業PMI - (実)50.2 (予)49.9 (前)50.1、

 米2月ISM製造業景気指数 - (実)58.6 (予)58.0 (前)57.6、

 バイデン大統領 一般教書演説

[3/2(水)]: 

 欧2月CPI(P) - y/y (実)5.8% (予)5.3% (前)5.1%、

 米2月ADP非農業部門雇用者数 - (実)475K (予)378K (前)509K、

 OPECプラス

 米ベージュブック

 パウエル議長 議会証言

[3/3(木)]: 

 米新規失業保険申請件数 - (実)215K (予)226K (前)233K、

 米2月ISM非製造業景気指数 - (実)56.5 (予)61.0 (前)59.9、

 パウエル議長 議会証言

[3/4(金)]

 米2月雇用統計 非農業部門雇用者数 - (実)678K (予)400K (前)467K、

                          失業率 - (実)3.8% (予)3.9% (前)4.0%、

                          平均時給 - y/y (実)5.1% (予)5.8% (前)5.7%、

                          平均時給 - m/m (実)0.0% (予)0.5% (前)0.7%、

                          労働参加率 - (実)62.3% (前)62.2%

 

今週も露宇関連ヘッドラインに踊らされる展開。停戦協議の進展期待が雲散霧消し、週末のザポロジエ原発攻撃で世界終焉的不安が市場に蔓延した。リスクオフの株売り/国債買いとスタグフレーション期待のコモディティ買いが続いた。

週末の米2月雇用統計は、労働参加率が上昇傾向を続ける中で平均時給が低下するという結果から労働供給面からのインフレ軟化を期待される内容になった。

 

n225オプション4月限IVカーブはマイルドな上方シフト

下図は、n225オプション4月限のIVスマイルカーブと出来高の1週間推移。全般的に、カーブが浮揚したが、大幅なものではない。因みに、日経VIの年初来高値は、1月FOMC直後の1/27に付けた30.65だが、足元は27.99である。今年のボラティリティを主導するのは、地政学リスクではなく金融政策見通しということか。

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東証業種別騰落率は資源高恩恵とインフレ耐性が見込める業種に上げが偏る

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今週は、ブラックアウト入り直前週でもあり、当局者の発言が相次いだ。パウエル議長が議会証言で予め3月FOMCでの25bps利上げを示唆したことは、地政学リスクで不透明感が増す中で無用な思惑を封じ込める形で市場に配慮したとも受け取れる。しかし、総じて、今回の露宇紛争がハト派と目される当局者にもインフレ抑止のためのタカ派バイアスを加えるものとなった印象は否めない。例えば、ハト派と目されるシカゴ連銀エバンス総裁(今年の投票権メンバーではないが)の週末発言「年内毎回利上げで、年末に1.75~2%レンジを見込む」は象徴的。

週末にも開催予定の3回目の露宇協議は期待薄だが、来週中にもイラン核合意再建協議が合意されれば原油高トレンドの反転につながる好材料になり得る。しかし、最大の注目は、前年比および前月比で更なる上昇が見込まれる米2月CPI。食品・エネルギーを除いたコアCPIの品目別データを注視したい。

今年は、発表されるインフレ関連指標に対して、FRBが次にどう行動するか予測できるかがカギ。断固たるインフレ抑止か景気(株式市場)配慮か。後者なら一時的に株式市場好感も後で大きなしっぺ返し。株式市場が業績成長を続けながら、どこまで利上げに耐えられるか?

下表は、n225とs&p500の昨年来の価格変動の要因分解。両指数とも約10%の下落だが、n225は下げの殆どがper低下で説明できるのに対して、s&p500は金利面からのper低下圧力である-15.6%をeps成長である+7.4%がカバーしての指数10%下落となっている。今後の米利上げ&量的引き締めはs&p500のperに更なる下げ圧力を加える中でeps成長がどこまでカバーできるか?

 

 

 


                                                                                                                                       

本内容にある過去データ及び将来の見積、予測、予想に関する情報が正しいとは限りません。また、本内容は特定の銘柄、取引を推奨するものではありません。取引に当たっては、ご自身のご判断でお願いします。売買で被られた損失に対し、著者は何らの責任も持ちません。

 

Weekly Market Summary: 2022/2/25

2/21-2/25: ロシアのウクライナ侵攻に対する過度な警戒は後退、合わせてFRBの積極利上げ観測も後退で株式市場は反発だが、インフレ高進の後処理がより厄介に。

 

曜日別の主な材料は、

[2/21(月)]:

 

[2/22(火)]:

 米12月ケース・シラー住宅価格指数 - y/y (実)18.6% (予)18.0% (前)18.3%、

 米2月製造業PMI - (実)57.5 (予)56.0 (前)55.5、

 米2月サービス業PMI - (実)56.7 (予)53.0 (前)51.2、

 米2月消費者信頼感指数 - (実)110.5 (予)110.0 (前)111.1

[2/23(水)]: 

 日本建国記念日

[2/24(木)]: 

 米新規失業保険申請件数 - (実)232K (予)235K (前)249K、

 米1月新築住宅販売戸数 - (実)801K (予)806K (前)839K

[2/25(金)]

 米1月コア耐久財受注 - m/m (実)0.7% (予)0.4% (前)0.9%、

 米1月耐久財受注 - m/m (実)1.6% (予)0.8% (前)1.2%、

 米1月コアPCEデフレーター - y/y (実)5.2 (予)5.1(前)4.9、m/m (実)0.5 (予)0.5 (前)0.5、

 米2月ミシガン大学消費者信頼感指数 - (実)62.8 (予)61.7 (前)67.2

 

今週も上へ下へと慌しい1週間。外交的解決期待がロシアの親ロシア地域の独立承認で遠のき、ウクライナ全面侵攻直後に大幅安が続いた株式市場も、週末には停戦交渉観測や経済制裁が軽微である(SWIFT締め出しや原油等の輸出制限が含まれていない)との認識や不確実性の高まりを受けた米大幅利上げ観測の後退(下図参照)から急速な戻りを示した。

出所: CME

米国債利回りは、5年物BEIが3%を超える等インフレ高進の最中でもウクライナを巡る不確実性から上げは限定的で、実質利回りは低下幅拡大となった。WTI先物の100ドル越えやシカゴコーン先物ストップ高等、急騰が続いたコモディティも週間では上げが残るも、週末は急速な利食い売りに押された。

金融市場に身を置く以上、ロシアのウクライナ侵攻の是非を論じてもメシは食えない訳だが、それにしてもひどい。ここは、大幸薬品に漢気を出してもらい、看板商品名を「正露丸」から「征露丸」に戻すことで、反ロ姿勢を暗に示せば、意気に感じた人の購買拡大で、クレベリンとか言うエア商材の大赤字も軽減される、かもしれない。

警戒疲れの所為もあるのだろうが、株式市場は束の間の平常運行に回帰しつつある。利上げ加速の織り込みは渋々なのに、利上げ後退の織り込みは素早いのが株式市場。依然として、ロシアのウクライナ侵攻がどのような決着を迎えるかは不透明である中、3月FOMCで当局者のハト派姿勢回帰が見られれば、短期的に株式市場は好感するであろうが、裏腹にFRBが後手に回るリスクを高めることで、将来的な下げの倍返しのリスクも高まる。

来週は、パウエル議長の議会証言やブラックアウト期間入り前の当局者発言も多数予定されている。加えて、インフレ動向を占う意味で、週末の雇用統計は平均時給と労働参加率が注目される。ウクライナを巡る問題の早期解決に向けた動きの明確化は好材料だが、じゃあ大幅利上げしても大丈夫だよねと債券市場は理詰め反応するはずである。今年の株式市場は急ピッチで利上げ消化調整安を示してきたが、いいとこ取りが常の株式市場は、ウクライナ問題解決でも大幅利上げはないとの認識優勢のまま、上げ続ける可能性もそれなりにある。とりあえず、25dMAの27,100水準がn225の節目となりそう。

 

嗚呼、おそロシア

下3図は、ロシア株、国債、通貨の動き。いずれの急落ぶりも半端ないが、特にRTS株価指数が単日で5割安とか恐ろしすぎで、コロナショック直後にWTI先物がマイナス価格を記録した時の驚きにも匹敵する。足元では、UBSからマージンコール通知を受けたファンドやロシア関連エクスポージャー保有ファンドの売買受付停止等に関する話が聞かれるが、早期収束期待が高まる中、流石に1998年のロシア金融危機を受けたLTCM破綻のような事はないと思うが。

 

 

出所: Investing.com

 

n225オプション3月限はNear ATMで一気にIV低下

下図は、n225オプション3月限のIVスマイルカーブ、IVの前日比と出来高の1週間推移。ウクライナ東部親ロシア地域の独立承認、米ロ外相及び首脳会談中止、そして全面侵攻と情勢緊迫化の加速に合わせて、IVもNear ATMの急浮揚が目立ったが、週末は早期停戦観測の高まりやFRBの3月大幅利上げ懸念の後退から一気にIV低下が進んだ。

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今年の日本の株式市場は木曜日が鬼門

下図はn225の曜日別平均騰落率と累積推移。まだ2か月しか経っていないが、木曜日の下げのキツさが顕著。最大の要因はFOMC結果及び議事要旨の公表が原則現地の水曜日である点。1月はタカ派姿勢が明確となった12月FOMC議事要旨や1月FOMC結果を織り込む形で米市場の大幅安に日本市場も連れ安。2月はメタ・ショックを含む大型ハイテク株の割高感修正が加速した米市場に連れ安だが。今年は米金融政策の動向が相場最大のカギを握るであろうことはわかっていたことだが、年内あと7回残るFOMCに絡んだ動きは要警戒。曜日別のディレクションボラティリティにベット出来る金融商品でもあれば、木曜日に賭金全突っ込みしたいところ。

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本内容にある過去データ及び将来の見積、予測、予想に関する情報が正しいとは限りません。また、本内容は特定の銘柄、取引を推奨するものではありません。取引に当たっては、ご自身のご判断でお願いします。売買で被られた損失に対し、著者は何らの責任も持ちません。

 

Weekly Market Summary: 2022/2/18

2/14-2/18: 右往左往の「賭場 in ウクライナ」開帳。結局、一番儲かっているのは、寺銭荒稼ぎの胴元プーチン

 

地政学リスクという「喉元過ぎれば」的なネタなだけに、警戒感からの手控えで商いはそれ程膨らんでいないし、VIXも30越えとはなっていない。株式市場で活発に動いているのは、ウクライナ情勢の関連報道に翻弄されながら、丁半博打を繰り返す短期筋ではとの雑感。リスクオフ・ムード満開で、資金はグロース株や仮想通貨から国債や金へシフト。株売り/コモディティ買いのスタグフレーション・トレード優勢の印象も強い。

 

曜日別の主な材料は、

[2/14(月)]:

 

[2/15(火)]:

 米1月PPI - y/y (実)9.7% (予)9.1% (前)9.8%、m/m (実)1.0% (予)0.5% (前)10.4%、

 米1月コアCPI - y/y (実)8.3% (予)7.9% (前)8.5%、m/m (実)0.8% (予)0.5% (前)0.6%、

 米2NY連銀製造業景気指数 - (実)3.10 (予)12.15 (前)-0.70

[2/16(水)]: 

 中国1月PPI - y/y (実)9.1% (予)9.5% (前)10.3%、

 中国1月CPI - y/y (実)0.9% (予)1.0% (前)1.5%、

 米1月小売売上高 - m/m (実)3.8% (予)2.0% (前)-2.5%、

 米1月小売売上高 - m/m (実)3.3% (予)0.8% (前)-2.8%、

 米1月鉱工業生産 - m/m (実)1.4% (予)0.4% (前)-0.1%、

 FOMC議事要旨

[2/17(木)]: 

 米新規失業保険申請件数 - (実)248K (予)219K (前)225K、

 米1月Phila連銀製造業景気指数 - (実)16.0 (予)20.0 (前)23.2

[2/18(金)]

 

 

下図は、225オプション3月限のIVスマイルカーブ、IVの前日比と出来高の1週間の推移。週初にウクライナ情勢の緊迫化を受けて、一気に浮揚を見せたが、その後は緊張の緩和と激化に振らされたものの、一層の上方シフトとはなっていない。

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本内容にある過去データ及び将来の見積、予測、予想に関する情報が正しいとは限りません。また、本内容は特定の銘柄、取引を推奨するものではありません。取引に当たっては、ご自身のご判断でお願いします。売買で被られた損失に対し、著者は何らの責任も持ちません。

Weekly Market Summary: 2022/2/11

2/7-2/11: 米1月CPIの予想超える上振れから利上げペース加速への警戒強まる。ウクライナ情勢緊迫化で一時的に金利上昇圧力は後退も、インフレの動きをにらみながら、株式市場も債券市場に歩調を合わせた調整が必要なのは変わらず。

 

先週のFRB当局者から相次いだ「積極的利上げ慎重論」に支えられ、週央までは利上げ耐性を示したかに見えた米株式市場だが、2/10(木)発表の米1月CPIの予想を超える上振れを受けて、タカ派自慢のブラード総裁が「6月末までに100bpsの利上げを望む」との激アツ発言を行い、下げに追い打ちをかける形となった。振り返ると、ブラード氏は昨年6月にもタカ派発言でショック安を引き起こした御仁だが、今月初めには「3月利上げ開始と5月追加利上げを支持するが、3月の0.5%利上げには否定的」との発言をしていただけに、曲者感は拭えない。2/10(金)は取引中盤まで下げ止まり感を見せていたが、終盤にかけてウクライナ情勢緊迫化から株式売りと債券買いが加速を見せた。

下図は、S&P500(VIX)と米金利スワップ市場(SRVIX)の相対ボラティリティの直近1年の推移。値が低い程、株式市場が債券市場より楽観的(=低変動率)であると判断できる。概ね、0.2近辺で株式市場は楽観Max、0.35近辺で悲観Maxと見て取れる。

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値が0.35超えの山は3回確認できる。昨年2月末にかけては、債券市場が金利上昇を織り込み始めたことを受けた株式市場のバリュエーション調整。昨年11月末にかけては、パウエル議長のタカ派変節とオミクロン株への警戒。そして、今年1月末はタカ派色強いFOMC結果の消化。直近では、ジリ高のSRVIXに対して低下基調のVIXの流れを受けて、0.25近辺の低水準に位置しており、相対的に株式の楽観度が高い状態にある。

CPI(下図表参照)は、食品・エネルギーだけでなく、幅広い財・サービス品目で上昇が続いており、前年同月比では4月発表分頃まではベース効果による上振れが続くと見込まれる。価格転嫁で吸収できるインフレヘッジ効果にも限度があるため、オミクロン感染による療養者数が減らず、企業は余裕を持った雇用者数の確保を迫られる中で、下方硬直性の高い賃金の上昇圧力が続くと企業業績への大きな重しとなる。元財務長官のサマーズ氏が声高に主張している「FOMC臨時会合を開催し、即時QE終了決定の必要性」というのも強ち強硬という訳でもない。対応が早ければ、深手を負う可能性も低くなる。

今後は、債券市場が織り込むであろうもう一段の金利上昇とイールドカーブのベア・フラット化に歩調を合わせて、警戒の帳が下りた株式市場も金利面からのPER調整と業績面からのEPS調整を迫られる。そうした調整圧力はインフレ鎮静化の兆しが見え始めるまで続くであろう。

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曜日別の主な材料は、

[2/7(月)]:

 中国 春節休場明け

[2/8(火)]:

 

[2/9(水)]: 

 

[2/10(木)]: 

 米新規失業保険申請件数 - (実)223K (予)230K (前)239K、

 米1月CPI - y/y (実)7.5% (予)7.3% (前)7.0%、m/m (実)0.6% (予)0.5% (前)0.6%、

 米1月コアCPI - y/y (実)6.0% (予)5.9% (前)5.5%、m/m (実)0.6% (予)0.5% (前)0.6%

[2/11(金)]

 米2月ミシガン大学消費者信頼感指数 - (実)61.7 (予)67.5 (前)67.2

 

 

 

 

                                                                                                                                       

本内容にある過去データ及び将来の見積、予測、予想に関する情報が正しいとは限りません。また、本内容は特定の銘柄、取引を推奨するものではありません。取引に当たっては、ご自身のご判断でお願いします。売買で被られた損失に対し、著者は何らの責任も持ちません。