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資産クラス毎の値動き分析、各種株価指数イベントの考察、アノマリーの検証、225オプションのリスク管理備忘録です。日本株&デリバティブの運用と金融翻訳で生計立てています。

Weekly Market Summary: 2022/7/29

7/25-7/29: 米株は、FOMC後のパウエル議長発言とGAFAM決算に対する「いいとこ取り」反応で本領発揮。

 

株式は、週間でも月間でも相対的に「欧米高vs亜安」の西高東低が鮮明であった。米株はナスダックが月間で12.3%高と2020年以来の大幅高。急ピッチの上げからテクニカル的には達成感も意識される(下図参照)。FOMC結果は硬軟いずれにも解釈可能であったが、株式市場は今後の利上げペース減速期待を好感し、早くも金融相場先取り色が濃くなった。加えて、GAFAM決算も「警戒していた程悪くはない」とこれまた楽観解釈に落ち着いた。また、GDPの2期連続マイナス成長も政権及びFedの当局筋が事前にマイナスでも重要視しない等と煙幕を張っていたためにサプライズ感は乏しかった。一方、アジアでは一連の中国リスク(ゼロコロナ政策堅持、中国封じ込め色の濃い米半導体補助金法案可決等対米関係の緊張化、恒大問題の再燃等)がくすぶり、香港が月間で7.8%安。

日本株は、日経225が月間では5.3%高だが、欧米に先行して上昇した分、テクニカル的には過熱感も意識される。加えて、急激な円高も後講釈だろうが上値を重くしており、28,000水準はtoppyな印象。6月FOMC以降の米金利低下を受けても強含んでいたドル円も急落を見せ、「ワニの口」が閉じ始めている(下図参照)。

ボラティリティは、6月FOMC以降は利上げ軌道(幅、ペース及び天井)に対する不透明感の後退を受けて、一貫して低下が続いている。6月まではFOMCに向けてボラティリティの上昇が見られたが、今回は事前の警戒ないまま長期の凪状態を維持している。米決算シーズンも峠を越え、再びマクロへ関心が移行する過程で、ボラティリティに動意が見られるか注目。

債券市場は、逆イールドが定着。今週はインフレ期待上昇主導で実質金利が低下し、景気後退懸念の深堀りが進んだ。コモディティ価格も、原油が100ドル回復をうかがい、貴金属や穀物も再動意を見せる等、インフレ高進懸念は依然としてくすぶっている。株式市場と債券市場の景気後退懸念を巡る想定乖離が拡大している。

 

懸念が完全に払拭された訳ではないが、株式市場の強含みは今暫く続きそう。

米株式市場は、失望決算への警戒が強かった(=好決算への期待は低かった)GAFAMが高インフレが支配する市場レジームの下を何とか乗り切っている状況を確認できたことで、ミクロ面での警戒が後退した。今後はマクロ面に関心が移るが、来月のCPI発表(8/10)前までは底堅く推移すると思われる。

 

 

 

 

 

 

 

                                                                                                                                     

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