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資産クラス毎の値動き分析、各種株価指数イベントの考察、アノマリーの検証、225オプションのリスク管理備忘録です。日本株&デリバティブの運用と金融翻訳で生計立てています。

Weekly Market Summary: 2023/1/20

1/16-1/20: ダボス会議の参加者からは、インフレ減速、エネルギー価格の低下、中国の本格的経済再開等を踏まえた前向きなコメントも散見されるが、、、

日銀政策決定会合の現状維持と週末ダボス会議での黒田総裁の金融緩和継続強調で円高&日本株安は小休止も、マクロ面の不透明感は今年の日本市場の重しに

 

 

今週回顧

米株は、インフレ減速を好感も、総じて悪化が目立つ景気指標を受けてもタカ派姿勢を崩さない一部FRB高官の発言を警戒したかと思えば、一部のハト派発言に安心したりと足下が覚束ない状況(下表参照)。金融にしろハイテクにしろ決算はまちまちで、思った程悪くはないが、良くもない状況。市場参加者のセンチメントも強弱が対立といった感じ。中国の本格的な経済再開への期待は続き、アジア株の堅調ぶりも継続。日本株は、ドル円の落ち着いた動きにほぼ連動する形で小幅高。

金利は、実質金利主導で小幅に低下。常に政策当局に先んじて景気後退からの金利低下を織り込んできた債券市場からすれば、足元での当局による利上げ減速姿勢の高まりは何を今更といったところか。

米ドルは軟調が続く。ドル円も日銀の政策据置直後は急反発もすぐに押し戻される展開だが、黒田総裁の金融緩和継続強調発言もあり、大きく下値を試す流れは起きていない。一方で、仮想通貨の上げ潮は続くよ、どこまでか?コモディティはまちまちの動きの中で、材木の急伸が悪材料出尽くしからなのか目立つ格好。

 

日銀政策決定会合の前後の日経225オプション2月限の建玉動向

昨年12月の日銀による長期金利の変動許容幅の拡大決定を受けて、今年は4月までに限れば、日銀絡みの丁半博打ネタが多い。今月は昨年12月に引き続いての政策修正があるのか?、2月には日銀総裁人事を控え、3月には黒田総裁最後の政策決定会合があり、そして4月は新総裁の下で初の政策決定会合がある。

今回は1/12の読売新聞による「追加の政策修正の可能性もあり」との憶測報道に煽られて、有象無象がポジション張りに大きく動いたと思われる。当初は、YCC再拡大やYCC撤回から末はマイナス金利の解除まで念頭に置くような極論も聞かれたが、徐々に現状維持のコンセンサスに収斂していったように見える。1/13と1/16の2日で600円超下落した日経225も、会合前日の1/17はポジション巻き戻しに伴うショートカバー主導で300円戻して引けた(下図参照)。

しかし、一定数の投機筋が参入していたことは、日経225オプション2月限の建玉動向からもうかがえた。会合前日の1/17には230~240の90%前後のストライクのPutの建玉残が大幅増となっており、新規Put買いを中心とした(新規Call売りを含む)デルタショート仕掛けでイベントに備えたと思われる(下図参照)。

そして、当日の「現状維持」の結果を受けて昼休みの日経225先物は瞬間的に3%弱の急上昇。上述のPut買い(Call売りを含む)の損切りが行われた。Put側は250前後のストライクを中心にIVの低下を伴いながらこの日も建玉残が増えていることから、ロールアップを含む新規買いだけでなく新規売りもかなりあったと思われる。

一方、Call側は焦った売り方が薄い板の中で買戻しを迫られ、わずか数枚の商いでトンデモ価格が付く一時的なミスプライスが散見された。しかし、後場の日経225指数に膠着感が強まるにつれて、新規売りも入る形でIVも急低下するという日常の光景に戻った。

例えば、前日の先物終値ベースで110%ストライクになる287Callの価格は6円であったものが、瞬間的に30円を付けた後に引けは12円であった。30円で売れた人に秘訣を聞いてみたいものである。満期まで3週間超もあり、相対的にガンマよりベガが大きなこうしたCallでは、既存の売り方が焼け出されるものである。日経225指数が連日の大幅変動ともなればIVカーブも上方浮揚するが、結果論とは言え、イベントに伴う変動が短期の場合、IVの旬はうたかたである。

 

 

 

 

                                                                                                                                               

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