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資産クラス毎の値動き分析、各種株価指数イベントの考察、アノマリーの検証、225オプションのリスク管理備忘録です。日本株&デリバティブの運用と金融翻訳で生計立てています。

Weekly Market Summary: 2022/8/19

8/15-8/19: 株式市場はテクニカル的な過熱感も意識される中、マクロ&ミクロデータ、FRB高官発言はいずれも強弱対立で市場の楽観色は後退。オプション満期の週末大幅下げで週間では5週間振りの下げ。

 

 

振り返り

経済指標は、ソフトデータの底堅さとハードデータの弱さが混在。小売決算も好調組と失望組に分かれ、FRB高官発言も解釈の仕方は別として一様ではなかった。

米株は、FOMC議事要旨発表後は積極的利上げによる景気のオーバーキル懸念がやや優勢になり下げ基調。週末は、ショートカバー一巡感や空売り再開の観測がささやかれる中、オプション満期に伴うロングデルタの外しも加わり大幅安。欧州及びアジアが弱含みの展開の中、日本株は円安サポートもあって3週連続で1.3%高となった。

ボラティリティは、VIXが20台へリバウンドの一方で、日経VIは今週も低下基調を続け、週末には年初来安値の18.11に。日経225オプション9月限は先週末以降の大商い続く。終値での29,000越えとなった8/17(水)には、コール側IVが新規買い主導での出来高及び建玉残急増によって大きく浮揚する程であった(下図参照)。

米国債利回りは、米景気の底堅さと高止まりするインフレを反映した英独国債利回り上昇を意識した長期ゾーンの上昇とFRB高官のハト派発言を取り込んだ短期ゾーンの低下により、イールドカーブはスティープ化。10年債利回りはインフレ期待主導で3%目前まで上昇。金利先物市場では、9月FOMCでの50bps利上げがやや優勢だが、来年6月の利下げ織り込みは解消されている(下図参照)。

米ドルは、FRB高官のタカ派発言を重視した積極的利上げ方針の深堀りで上昇。依然としてロシアのエネルギー供給恫喝による高インフレに苦しむユーロや資源高一巡から軟調な資源産出国通貨を横目に最高値更新をうかがう流れ。仮想通貨は週末にまとまった売りに押されて、ここもとの戻り基調が反転。コモディティは、エネルギー(天然ガス除く)、メタル、穀物等総じてリセッション懸念再燃から弱含み。

 

目先の株価はテクニカルや需給面での綱引きに

様々な材料が強弱対立する中で、短期筋のショートカバー主導の上げ一巡感もある。9月FOMCまではまだ間がある一方、来週末のジャクソンホール会議でのパウエル議長の講演までは方向感が出づらい展開が見込まれる。個別決算では、8/24(水)のエヌビディアが注目される。いずれにせよ、強弱いずれが優勢か鮮明になるまでは、一方向への動きとはならないと考える。

日本株の需給面では、指数上昇が続くにつれてネット裁定残が3月以来の1兆円越えまで積み上がっている点が気掛かり。一方、ネット信用残は逆張り行動が支配的な個人の主戦場のため急減しており、こちらは3月以来の2兆円割れ。

 

 

 

 

                                                                                                                                     

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