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資産クラス毎の値動き分析、各種株価指数イベントの考察、アノマリーの検証、225オプションのリスク管理備忘録です。日本株&デリバティブの運用と金融翻訳で生計立てています。

Weekly Market Summary: 2021/10/29

10/25-10/29: インフレ長期化懸念から、2022年末までの早期の利上げ2回を織り込む米金利先物市場と景気減速を見込む米長期国債市場に対して、ハト派姿勢維持の当局に見通し乖離再び。いいとこ取りの米株式市場は概して好調な業績を受けて楽観ムードが支配的で早期利上げ見通しに与せず。

 曜日別の主な材料は、

  • 10/25(月): 
  • 10/26(火): 米10月消費者信頼感指数 - (実)113.8 (予)108.3 (前)109.8、米9月新築住宅販売戸数 - (実)800K (予)760K (前)700K
  • 10/27(水): 米9月コア耐久財受注(m/m) - (実)0.4% (予)0.4% (前)0.3%
  • 10/28(木): 日銀金融政策決定会合、ECB金融政策決定会合、米Q3GDP(q/q) - (実)2.0% (予)2.7% (前)6.7%、米Q3GDP(y/y) - (実)5.7% (予)5.5% (前)6.2%、米新規失業保険申請件数 - (実)281K (予)290K (前)291K
  • 10/29(金): 米9月コアPCEデフレーター(m/m) - (実)0.2% (予)0.2% (前)0.3%、米9月コアPCEデフレーター(y/y) - (実)3.6% (予)3.7% (前)3.6%、米10月ミシガン大学消費者信頼感指数 - (実)71.7 (予)71.4 (前)71.4

金利先物市場では、高止まりするインフレに対する早期利上げ織り込みを進め、2年債利回りが0.5%水準を突破した。一方、10年債利回りは1.5%台に反落し、イールドカーブはフラット化し、10年物BEIも先週の高値水準からは低下し、景気減速とインフレ抑制を見通す形となった。

米ドルは堅調持続。実業家拘束絡みの外交問題が加わり、トルコリラは年初来安値の更新する続く。カナダドルは中銀の利上げ時期前倒しを受けて強含み。ビットコインは、一服商状ながら60,000ドル台は維持し、イーサリアムは高値更新。コモディティでは、収穫遅れやエタノール在庫減少を材料にコーンが大きく上昇する等、穀物系がしっかりの反面、貴金属やエネルギー系は総じて軟調であった。

米株は、一部ハイテクに失望決算が見られたが、概ね好業績を評価する流れが支配的で、主要3指数が揃って高値更新して週を終える強い展開。一方、日本株軟調なアジア株の下落や総選挙の結果予測が気になるらしく、好決算物はそれなりに評価も気もそぞろで、方向感を欠く展開が続いた。

東証1部の商い3兆円割れが続く中(28日は、topixのフリーフロート変更に伴うリバランスフローで5兆円に吹き上がったが)、短期筋の先物売買がザラ場のn225に及ぼすインパクトが相対的に大きくなっていると思われる。n225のザラ場振幅は、中国恒大問題を大きく織り込み始めた9月下旬以降で拡大傾向にある(下図参照)。

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足元でもメディアの総選挙の結果予測や日米の企業決算を受けて振幅は上昇傾向が続いているが、中国恒大問題は当局による創業者個人&取引金融機関への恫喝が効いて、目先の流動性危機は回避できるとの観測も聞かれる。来週以降はFOMCや決算発表峠越えでイベント通過することで、水準的にも日柄的にも振幅はピークアウトしてもおかしくなく、ガンマトレードの妙味も低下する。

来週は、主要銘柄の決算発表ピークを迎える。今週は、供給サイドの問題に起因した失望決算も散見されたが、指数の事前調整下げもあったため大きなネガティブとはなっていない。最大の注目は、日本の祝日明けで迎えるFOMC結果。今後の利上げペースに関する言質が得られるか。当局が金利債券市場追随で利上げを急ぐ姿勢を示唆すれば、景気腰折れ懸念から長期金利&BEI低下で、シクリカルからハイテクへのローテーション。ハト派スタンス継続なら、長期金利&BEI上昇から、ハイテクからシクリカルへのローテーション。決算一巡後のマクロ指標注目ステージ移行後は、ハイテク組が好決算確認を踏まえた楽観をどこまで持続できるかもポイントに。テクニカル的には、各移動平均線が28,500~28,800の狭いレンジに収斂し煮詰まりつつあるため、明確な方向感が出てくる可能性も。

 

 

 

                                                                                                                                       

本内容にある過去データ及び将来の見積、予測、予想に関する情報が正しいとは限りません。また、本内容は特定の銘柄、取引を推奨するものではありません。取引に当たっては、ご自身のご判断でお願いします。売買で被られた損失に対し、著者は何らの責任も持ちません。