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資産クラス毎の値動き分析、各種株価指数イベントの考察、アノマリーの検証、225オプションのリスク管理備忘録です。日本株&デリバティブの運用と金融翻訳で生計立てています。

Weekly Market Summary: 2020/11/20

 11/16-11/20: ワクチン期待と感染拡大懸念のせめぎ合い

曜日別の主な材料を振り返ると、月: モデルナ95%有効砲 -> 火: 米小売売上高低調 -> 水: ファイザー95%有効弾 -> 木: 新規失業保険申請件数想定超 vs 米与野党コロナ経済対策協議再開 -> 金: FRBの緊急融資プログラムの縮小。

ファイザーに続きモデルナもワクチンの高い予防効果を発表し、週初はリスクオン優勢の展開も、火曜日以降は一転してワクチン効果への疑念や低調な経済指標発表を受けてリスクオフやや優勢の流れに傾いた。週間では小幅な値動きであったが、資産クラスによってリスクの受け止め方に温度差があり、それが値動きの違いに現れた格好。

主要指標の変動率

株式: 米株は、月曜日にnydowとsp500が最高値更新も、週間では結局小幅安の一方、nasdaqは小幅高で、感染拡大やロックダウンから来る実体経済悪化の可能性に関心が向かうグロースやや優勢の展開。日本株は、火曜日にn225終値で26000越え、NTレシオも一時15倍に乗せるなどしたが、その後は減速。週間ではtopixの上昇率が最も高く、2020年最強指数のマザーズは下げるなど新興小型株はやや軟調。米株とは対照的にワクチン期待を強く反映してかバリューやや優勢であったと言える。

インデックス絡みのニュースでは、テスラのsp500採用はnasdaqの週間小幅高に寄与したと判断。n225入替では、この前のネクソンに続いてシャープの新規採用が決まり、どこの国の指数だよ?と一瞬たじろいだが、世界の分断危機に抗うグローバリズムの旗手「The 日経」の深慮遠謀と解釈することに。11/30にはMSCIの半期リバランスのトレードフローが見えている予定。

ボラティリティ: 米大統領選以降、VIXの低下トレンドに変化なしだが、Skewはジワリ上昇している。目先、大きな変動は見込まないが、急落リスクは相応にあるということか。また、VIXの期間構造を見ると、長めはそれ程下がっていないため、長期の不確実性もそれなりに大きい。下2図参照。

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余談だが、n225が26000台に乗せ、225オプションの権利行使価格にも30000台がちらほら混ざってきた。実に感慨深い。バブルを知る人間から見れば、夢のまた夢としか思われなかった30000台である。バブル高値の39000まであと13000しかないと強欲に構えるべきか、まだ50%も上と嘆くべきか。

債券: 米国債は、日々の個別材料に素直な反応を示し、週間ではリスクオフ優勢で終えた。年限を問わず総じてイールドは低下し。10年債と2年債のスプレッドも60bps台へ落ちた。

FX: ドル指数は、限定的な動きに終始。米ドルは、対円で下げ、対ユーロで上げだが、いずれも小動き。ビットコインが3年振りの高値で、こちらも感慨深い。2017年の急騰で評価益億り人になるも、国税の「交換も実現益扱い」を知り売却を試みるが、暴落してて納税手当て出来ないみたいな動きがあったと記憶しているが。下図参照。

コモディティ: 原油はワクチン期待のリスクオンに強く牽引されて大幅高、銅も同様で年初来高値更新、一方の金は小幅安で終えた。

来週の展望: ワクチンの予防効果ネタは出尽くし感があり、実用化に対する疑念が芽生えた現状では、ファイザーによるワクチンの緊急使用許可の承認が下りると見込まれる12月中旬頃まではワクチンネタが相場の支援材料とはなりにくい。一方で、膠着していた米追加経済対策に進展の動きが出てきたこと、鬼の居ぬ間の中国の動き(RCEPやTPP)も米中緊張緩和の流れに沿っておりポジティブ要素。以上から、来週もせめぎ合いの膠着相場を想定する。

24日以降はNTTのドコモTOB決済資金4兆円が出てくるらしいが、株に向かうとすればバリュー選好と思われるため、n225はスピード調整を兼ねた小休止、topixは出遅れ修正継続を見込む。想定レンジは25,300~26,000とする。

大きな動きが顕在化するのは12月中旬以降か?このタイミングは次回FOMCと重なるため、その時点の10年債イールドや株価の水準如何では、FRBによるYCC議論の蒸し返しとか前のめりな金融相場の終焉に対する思惑でブレそう。

 

                                                                                                                                             

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